カカシ、脱走する

「・・・」
なんでこんなにイライラするんだろ・・・
俺はいつだってナルトの一番である自信はあるし、ナルトが俺の一番だってずっと思ってる。ナルトの幸せが一番大事だし、ナルトの笑顔のために日々生活をしてるようなもので、ナルトが笑ってるのが俺の一番の幸せなはずなのに、ナルトの笑顔が俺にむいてないのがこんなにもムカツクなんて・・・
俺以外に笑いかけないで?
俺以外に近寄らないで?
そんなこと言えるわけない。
ナルトの笑顔がなくなるよりも、俺が俺が我慢するほうがずっとマシ。
でもさ
「どうしてなんだぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁあっぁぁぁぁあぁぁっぁあっぁあっぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」



なんでこんなにカカシが荒れているかというと、木の葉の下忍がみんなで旅行に行こうという計画を立てているのである。
木の葉の大人たちは子供たちが自分で計画を立て、自分たちで行動することに深い関心をしめして、ひとまず子供たちのやりたいようにさせようという結論に至ってしまったのである。しかも、残念なことに三代目火影がカカシに先回りをして、さっさとそれを任務にしてしまったのである。
任務ということは強制参加。
しかも、あろうことかカカシが単独任務の日にバッティングしてきたのである。
つまりはカカシの介入は不可能ということ。
そして、引率はイルカとアスマ、そして紅という素敵なメンバーである。隙がない火影の布陣にカカシはイライラしてこうしてこっそり家を抜け出して酒場でわめいているのである。
「おいおい・・・そんなにわめくな!!ほかに迷惑だろっ!!!」
そういってカカシの頭を押さえつけているのは、今回の旅行の引率を任されたアスマである。ちなみになぜ引率にえらばれたかというと、平等だから。
イルカはみんなの先生だったという立場から。
紅は女性の引率もいたほうがいいから。
そこはカカシも納得がいく。
しかし
「なんでアスマなんだよぉぉぉぉぉ!!俺だっていいじゃないかぁぁぁぁぁ!!!!」
泣きながら酒をあおるカカシはなんともかわいそうなくらい荒れている。なんでかって?
「なんで俺がナルトのいない家でご飯食べなきゃいけないの!!ナルトのいないベッドで寝なきゃいけないの!!おはようのちゅーは?おやすみのぎゅっは?いただきますのあ〜んは?」
もうコワれ始めているカカシに辟易しだしたアスマは早々に助けを呼ぶ。


「かかし〜?ここにいるってばぁ?」
カカシがマイスウィートエンジェルを言ってはばからないナルトがアスマの影分身によって抱っこされてやってきた。さっさとナルトをおろしてきえる影分身と、自分が飲み食いしたお代を置いてさっさと店を後にする本体。
「カカシ・・・アスマ先生に迷惑かけちゃだめだってばよ?」
にっこり笑って酔っぱらって泣きながらナルトナルトと女々しい男の頭を優しく撫でて、カカシが言い続けているわがままを聞き続ける。
「カカシは俺がいないとさみしいってば?」
「うん」
「俺が一日でも一緒じゃないとダメなんだってば?」
「うん」
「じゃあ、一緒にいるってば。俺ってば行かない。」
「えっ?」
にっこり。だけどちょっとだけさみしそうに笑うナルトにカカシが視線をあげる。しょうがないってばっていいながらちょっとだけ曇らせた表情をカカシに悟られないように上手に取り繕って笑うナルトがカカシには愛おしくて苦しいくらいにかわいい。
「大丈夫。俺は大丈夫だから、ナルトは行ってきな?きっともう二度とこんな経験できないから。これから忍の道をまっすぐに進めば、きっと仲間たちは心では一緒でもみんなと一緒に居られる時間はそんなにないから。」
そういってさっきまで酔っていたのがウソみたいにさっさとお勘定を済ませてナルトを抱きあげた。ちょっと濡れた目頭にほんのちょっとの罪悪感にカカシが「ごめんね。」ってあやまると、ナルトがにっこり笑う。
抱きあげたナルトをそのまま軽々と片腕で抱っこしてもう片方の手でナルトの頬を触る。
「俺はね。ナルトが笑ってるならなんでもいいよ」
「・・・俺もだってば!!カカシが笑ってるのが一番いいってば!!」
にっこりほほ笑みあう二人はゆっくりと家路に就いた。


  FIN

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