カカシ、戦う・・・

木の葉は今日もなんともうららかな風の流れる気候です・・・
「カカシ〜・・・俺ってばさくら餅がたべてみたいってば・・・」
そういって、カカシの最愛の恋人であるナルトがカカシの膝の上でおねだり光線を発しています。普通の野郎におねだりなんてされた日には即刻ぶっ殺しそうなカカシですが、ナルトラブ馬鹿野郎でしかないカカシには効果テキメンの素敵なおまじないになってしまうのです・・・
「じゃ、今日の帰りは甘栗甘だね」
そういって、今日も今日とて、二人は任務に出て行きました。


「ちょっとナルト!!」
サクラのヒソヒソトした、でも結構な威圧感を含んだ声に、一人黙々と雑草を抜いていたナルトがびくっとサクラの方を向く。
「な・・・なんだってばよサクラちゃん」
もうビクビクって顔に書いてあるナルトに、サクラはなんともひくついた口元を隠しもせずに、
「なんでカカシ先生が上機嫌で草抜いてんのよ!!普段は草の後処理はしてくれても抜くなんてなかったのに・・・イチャパラ読みながらできない仕事はしなかったのに・・・!!」
さっと指差す先には、サクラ的には何度見ても見間違いにしか見えない光景・・・
数人のカカシ先生が、イソイソと草をぬいているのである。
しかも、すっごいスピードで手が動いているのにもかかわらず、顔がニヤニヤニタニタとしていて、心ここにあらずなのである・・・
「・・・キモチワルイ」
サクラのつぶやきに、
「なんでだってば!!かわいいってばよ?」
なんて、返してしまうナルトを、サクラは「病気病気・・・」と繰り返しつつ、目を伏せる。先ほどからコソコソとナルトとしゃべっているサクラへ視線が刺さっているので、サクラは咳払いしつつ本題に戻る。
「あんた、なんか知ってる?」
「今日はデートなんだってば!!」
そういって嬉しそうなナルトの顔に、先ほどまでサクラの背中に刺さっていた視線が、そっと優しげにナルトに降り注ぐ。


「そっかぁ・・・そういえば、甘栗甘は昨日から春の新作スウィーツがでたんだよねぇ?」(さっきはよくも殺気送り込んできたなバカカシ先生・・・デートの邪魔してやる!!」
「サクラちゃんもくるってば?じゃ、俺ってばサクラ餅食べっから、新作スウィーツっちょっと頂戴?」
キラキラとした目を輝かせるナルトを無視して、戦闘が始まる・・・

「カカシ先生?私とサスケ君もいいですか?」
       (ふたりきりなんてさせないわよ!!)
「いいけど。サクラ知ってる?人の恋路を邪魔する奴は・・・」
        (ナルトとデートのためだけにタルイ任務おわらせたんだよ)
「馬に蹴られても私一応忍の端くれですもん。よけられます」
         (そんなんでひるむと思ってんじゃないわよ!積年の恨み!)
「じゃ、忍に蹴られるよ?」
          (蹴り飛ばすぞガキ!さっさと帰れ!)
「アハハ・・・まさか。忍に蹴られたら火影様に訴えますよぉ」
          (そんなことしたら、身の破滅よぉ?ホホホ・・・)
「・・・」
「・・・」

「おいサクラ。帰るぞ?」
二人の攻防戦に終止符を打ったのは、サスケだった。普段はさっさとサクラを置いて帰ってしまうサスケに声をかけられた嬉しさに、サクラはその場をさっさと忘れて、サスケと並んで帰って行った・・・


「行こうか?」
カカシの声に、ナルトは嬉しそうに差し出された手を握って、街へ歩いた・・・

  FIN
おまけ
「サクラ知ってたか?」
「なにを?」
「カカシは甘いもの苦手なんだ。それをナルトの頼みでいくんなら邪魔しちゃ悪いだろ・・・」
カカシが苦手なものをわざわざ食べに行く事に、サスケに少し同情していた。
しかし、そんなことはお構いなしのサクラは、ちょうど通りかかった甘栗甘のおかみさんに、
「はたけカカシ上忍と、うずまきナルトが来たら、甘めのココアを出してあげてください」
まるで疲れた上忍師をいたわるかのような仕草と言葉を添えて、店を出た。
外で待っていたサスケにアクドイ笑顔を浮かべながら・・・

   

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