カカシ、寒い・・・

「はぁぁ・・・かわいい・・・」
今日も今日とて任務中・・・今日も元気に草刈り中。今回は根っこから引っこ抜くのではなく、根もとから切って良いとのことなので、それぞれにクナイ片手にスイスイと切っていく。刈った草を、早く任務を終わらせて帰宅したい担当上忍のカカシが、忍犬たちも使ってさっさと集めて焼き払う。
まったくもって、ナルトとカカシが付き合いだしてからの任務は快調である・・・
ある一部を除けば・・・
「ナルト〜。疲れてない?大丈夫?」
せっせと汗を流して草を切っているナルトに、カカシは何くれと構い倒す。とにかく、とにかくナルトだけに構い倒す。
「カカシ先生!!サクラちゃんの方が女子だし、きっと大変だってば!!」
なんにも気付いていないのはナルトだけ。こんな風に他人に優しいのはナルトの優しさではあるが、なったくもって困る・・・。
「・・・サ・・・サスケ君・・・どうしよう・・・怖い・・・」
ヒソヒソ・・・
「無視しろサクラ!下手に構うとケガするぞ!!」
ヒソヒソ・・・
今日も、被害を被るのは、ナルトの周辺にいる者たち。優しいナルトが気にかけてくれるたびに、優しくないナルトの恋人からの激しい嫉妬と、殺意の視線にさらされることになる。そして、今日も今日とて班が一緒という最大の災難を抱えつつ、関わらないという最善の策をとっている賢い子どもたちは、さりげなくカカシの手がナルトの上下のジャージの隙間に入ってサワサワ動いている事も、さりげなくナルトの担当範囲だけせまい事も、気付かないふりで黙々と作業を続ける。
「サスケ君・・・私、きっとこの先こんなに気まずい経験なんてしないと思うの。」
ヒソヒソ・・・
「俺もだ。きっと、俺たちは上忍師から学べることは、『反面教師』て部分では大量にある・・・サクラ・・・俺はあんな風にはならない!!」
ヒソヒソ・・・
子どもたちのちょっと失礼だけど、もっともな小さな意見を、カカシはその敏い耳で聞きとっていたが、ナルトに聞こえていないので、今回は聞かなかったフリにするようである。
「はぁぁぁ・・・ナルトッてなんでこんなにお日様みたいにあったかい匂いなんだろう・・・こんなに寒いのに・・・」
カカシはナルトにひっついて、スンスンとにおいをかいでいる。ナルトとしては日常茶飯事の慣れた行為ゆえに気にもしていないが、如何せんここは屋外で、例の豪邸の敷地内でもない。さすがに赤面する下忍連中に、ニヤッと笑いを飛ばして、明らかに先ほどの失礼な決意へのあてつけであることをにじませつつ、さらにナルトをクンクンスンスン・・・
「カカシ先生・・・動きづらいってばよ?」
さすがになんとなくいたたまれないし、動きづらさを感じたナルトが小首をクリンとかしげて、去りげなく引き離しても・・・
「だって寒いんだもん!!」
なんて具合にひっつく・・・
「上忍だろぉぉぉ!!!寒いわけあるかぁ!!」
思わず突っ込んだサスケをサクラが羽交い絞めにして押さえる。
「サスケ君!!ここで出て行くとヤツの思うツボよ!!」
サクラの懸命な制止になんとか我を取り戻したサスケは、また黙々と任務に励む・・・
「カカシ先生寒いってば?」
なんと!あんまりにもひっついているカカシに、ちょっと心配になってきたらしい純情少年なナルトが、カカシをギュッと抱っこする。
「こうしたらあったかいってばよ!!」
ちょうど、カカシのカカシな部分にナルトの股が当たる状態で、そんでもって、ナルトは全くの善意でカカシにジャージをかけてあげる・・・しかし、そのせいで、ナルトが薄着になり、任務で汗ばんだシャツが肌に張り付いていて、カカシには何とも目に毒なのである
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
絶叫と共に、ナルトをそっと膝からおろし、
「先生(いろんな意味で)元気になったから、ナルトは任務してて?」
毎度おなじみですが、一部ナルトには聞こえない音声でお送りしています。
もちろん。ナルト以外には聞こえるわけで、、、
「「ざまぁみろ!!」」
下忍たちのなんとも小ざっぱりした言葉と共に、消えたカカシはしばらく戻ってはこなかった・・・




    FIN

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