カカシ、自慢する1

「カカシ〜・・寄ってってよぉ?」
しなだれかかる派手な女に、カカシはげんなりしつつ、反対側のナルトを庇うようにしてその場からさる。こんなこと、街の至る所でよくあること・・・
でも・・・
「あんたなんて、ただのガキのくせに!!カカシさんに好かれるためにこっちはどんだけカカシさんの好きな色着て、おしゃれして、自分磨いてると思ってんのよ!!」
数日後に、道を歩いていたら、その時のキャバ嬢と思しき、青のワンピースを着た女性が歩いていた。カカシが昔、かなりの遊び人であったとこは、ナルトの耳にも入っていた。
着飾ってきれいな女性と、いつも同じジャージと、なにもしていない己の顔に触れたナルトが、怒りに荒れた歩調で店に帰っていくキャバ嬢を見送った・・・



「カカシ〜・・・お願いがあるってば・・・」
かわいいナルトのために建てた大豪邸・・・その一角で忍犬達と戯れていたカカシの最愛の恋人であるナルトは、カカシの隣に座って、可愛く小首を傾げておねだりビームを発していた・・・
(ベッドで言わせてぇ・・・)
パピパピと発せられるビームを受けて、不埒な考えも大概にしろと思えるような事を考えつつ、そこは大人の理性で
「なぁに?」
なんて、何事もなかったかのようにナルトのビームを受ける。
「・・・俺ってば、カカシに・・・その・・・」
モジモジしててなかなか話を切り出さないナルトに、カカシは若干ムラムラしつつ、ナルトを待つ。
「どうしたのよ?」
まだまだモジモジしているナルトに、カカシはさっさとナルトを抱っこして膝にのせ、向き合わせるようにして頬に手を添えて目線を合わせさせる。
「なんでも言って?」
カカシは、ナルトの願いなら里一個でも買いかねないし、ナルトが本当に望むのであれば、ナルトを虐げるさとなぞ抜けても構わないと思っている。火影もきっと里抜けしても追忍を適当に出すが、ナルトが今まで置かれていた環境と、カカシとヨウコのタッグからナルトを奪えるような輩はいないことから、そこまでしつこく追ってくることはないであろうと、カカシは常に考えていた。もちろん。ナルトが望む限り、この場所で、終に生きて行くと思ってるのも確かである。
「あのね・・・俺ってば・・・女のひとがきれいなんだってばよ・・・」
ガーン・・・という文字が背景にがっちり書かれているかのように、カカシがうなだれる・・・慌てたのはナルトの方。
「違うんだってば!!でも・・・その・・・なんて言っていいかわかんってば・・・」困ったように眉を下げ、目に涙をためるナルトに、今度はカカシが焦って視線を再度合わせる。
「ん?どういうことなの?考えてること全部話して?順番とか、言葉とか選ばなくていいから?」
カカシの優しい声色に、ナルトはしゃくりあげ始めた。
「俺ってば・・・あのお姉さんみたいにきれいじゃないし、カカシに大好きでいてほしいって思うけど、どうしてらいいかわかんないし・・・うぅぅ・・・」
カカシの胸につかまって泣きだしたナルトに、カカシは先日の女がナルトを悩ませているのかと、かるく舌打ちをして、完全犯罪の計画をこっそり考えている・・と・・・
「俺・・・女の子の格好したいってば・・・」
突拍子もない発想に、カカシの脳はまったくついていけず、「は?」と言った顔で固まっている。
「俺も化粧して、ドレス着て、きれいになりたいってば!!」
(あんな人工顔にあこがれなくても・・・)
カカシとしては、化粧と香水の匂いのする女豹達より、そのままのナルトの方がきれいで可愛いのであるが、それではナルトが納得しないし、なにより普段は絶対女装なんてオイシソウな事してくれないナルトが、自分からそれになりたいというのであるならば、ヤるし・・・やるしかあるまい・・・
「わかった・・・ま、ナルトならなにしても可愛いけど、せっかくだし、気合い入れてヤリマショ?」
カカシはさっさと忍犬を各専門家の元に向かわせて、ナルトを膝からおろして、立たせる。
「カカシは何色が好きだってば?」
ナルトの問いに、カカシはナルトと視線を合わせてにこっとほほ笑む
「ナルトの目の色」
至極嬉しそうに笑うカカシに、ナルトはさきほどまで感じていたちょっとした緊張をといて、カカシの腰に抱きつく。
「俺ってば、カカシが好きになっちゃうくらい可愛い女の子になりたいってば!!」



それから、里一番のデザイナー、仕立てや、シューズ専門の職人、その他の道のプロたちが集結し、ナルトを最大限可愛くすべく、己の技術の才を尽くした・・・
後ろで見守るカカシからのプレッシャーに相当な重圧を感じながら・・・
「カカシ・・・なんか恥ずかしいってば・・・」
さすがに内々にやってくれると思ったのに、なんだか大げさになってしまい、自分の除草が世間に見られて、あまつさえ仕立ててもらうなんて恥ずかしいナルトが、カカシに助けを求める・・・
「なんじゃ・・・任務で使うのかぇ?」
ナイスに帰宅したヨウコの言葉
「そうだってば!!に・・・任務だってば!!」
とっさに肯定すれば、カカシものんびりとそうだと言うように視線を合わす。ただ、ナルトに見えないようにヨウコにウィンクしてはいたが・・・



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