カカシ、滞る

今日も今日とて豪邸はなんとものどかな空気が流れる。
そんな中で、書斎で机にたくさんの紙を広げて報告書とか訓練表とかを作りに頭を悩ませている銀色頭の大人が一人・・・
『テテテ・・・』
(きたな・・・)
悩む原因は、なにもその内容だけではない。
カカシ程の頭脳があれば、本来3時間もあればすべておわるであろうに、なぜかこの机とかれこれ3日ほど向き合っている・・・そりゃ、途中で本を読んだり出かけてみたり、妄想したり、妄想したり、妄想したり・・・も、したが、なにも3日もかかるはずがない・・・本来なら・・・
『コンコン・・・』
控えめなノックの音
「どうぞ?」
カカシのにこやかな声にこたえるように、ぱっと開くドアと、その隙間から表れるカカシの仕事停滞の原因・・・
「カカシ?忙しい?」
ナルトの持ってきたお盆の上には、小さく食べやすいサイズのおにぎりと、アツアツのお茶。それに、添えられたおそらくナルトの分と思われるホットミルク。
「大丈夫だよ?どうしたの?」
にこやかにカカシが手を差し出せば、ナルトはそっとお盆を渡して、自分はちゃっかりカカシの膝にすわる
「カカシおなかへてるかと思って!!」
ふたりで昼食は済ませたし、おなかのすく時間ではない。このおにぎりを理由に、カカシに会いに来たこと丸わかりのかわいらしい恋人に、カカシはなんとも癒される心地がして、思わずナルトの頭をナデナデ・・・
「・・・カカシ〜?あそんで?」
膝に座ったナルトは何とも可愛く上目使いで遠慮しがちにでもしっかりと自己主張してくるその姿・・・
(ヤバイ!!かわいい小悪魔がいる!!)
カカシの心中お察しします・・・
「今日は。、お前たちの訓練スケジュール作んなきゃ・・・」
カカシがナルトをそっと膝からおろして、困ったように目線を合わせれば・・・
「じゃあ、俺に訓練つけてくれってば!!」
嬉々として元気に飛び回るナルトに、カカシは嘆息しつつ、
「今日はだめ。訓練表を出さないと、任務入れられちゃったり、なかなか演習場使えないし・・・」
そういってカカシが机に向かおうとイスを回転させて書面に向き直った瞬間・・・
『ペロ・・・ちゅ』
カカシの頬には、普段なら絶対あり得ない感覚・・・正確には、ここ3日間ずっとカカシを仕事に就かせない感覚が・・・
「ナルト!?」
ヘヘヘ・・・と笑うナルト。おもいっきりカカシの頬をぺロッしてチューしてほほ笑む
「カカシは仕事しちゃだめってば。俺を構わないとダメだってば」
お願い・・・と、可愛く可愛く小首を傾げられれば、誰がナルトに逆らえようか・・・
「もう!!いい加減にしなさいよぉ?」
なんとも上機嫌にイスから立ち上がったカカシは、自宅の片隅にある演習室に向かうのであった・・・


「やったってばよ!!サクラちゃんが言ったとおりにしたら、カカシ先生何にもしないで、俺を構ってくれたってば!!」
喜んで報告してくるナルトに、サクラはなんともげんなりした顔で、
「そう・・・ベロチューしたのか・・・よかったわね・・・」
なんともげんなりとやる気のない顔で、明後日の方向を見やる。
「・・・うん!!ほっぺに!!」
「!?」
サクラビックリ・・・ここでナルトのベロチュー発言に絶句していたナルトラブヤローサスケが
「おい・・・どうやって頬にやるんだよ・・・」
なんて失言してしまったから最後、サスケは自分が放ったボールが思ったよりも危険な事を身をもって知る・・・
「ん?どうって・・・カカシの後ろから回って、ほっぺをぺロッて舐めて、その後にチューってほっぺに・・・」
・・・細やかに放たれるナルトからの危険球にもう心が折れてしまったのか、サスケは「空ってきれいダナ・・・」とか、わけのわからないことをささやきつつ、さっさと木に登って行ってしまった・・・

一方でサクラは、ほっぺチューごときでなんでも言うことをきてしまう我らが担当上忍は、案外純情なのかもしれないと、一人なんとも乾いた笑いを浮かべるのであった・・・

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