カカシ、料理する

「あけましておめでとうってばよ!!」
元気な挨拶と共に、ほっぺと唇についばむようなキスを落としていったカカシの最愛の恋人のナルトは、さっさとリビングへ行ってしまう。
「?」
いつもであれば、カカシが起きるまでずっとそばでついているのにもかかわらず、今日は早々に部屋を後にされてしまった。
仕方がないとばかりにさっさとベッドから降りて、リビングに移動したカカシは、テーブルの上に置かれた郵便物達に今日が正月だということを思い出す。
「カカシ!!みんなから年賀状が来てるってば!!」
ナルトが嬉しそうに年賀状を見ているのをほほえましく見守っていれば、カカシはフと思う。
「ナルト・・・いつもお正月ってなにしてた?」
去年まではずっと一人だったのである。ナルトはお正月をちゃんとしっているのだろうか・・・
「正月は酔っ払いが多くて危ないから、外には出ないでずっとテレビみてたってば」
年賀状をカカシとナルトに分別しながら事も無げに言っているナルトに、カカシはちょっとさみしさを覚えつつ、さりげなく寝室に戻って、宅配のおせちを注文する。


『ピーンポーン』
届けられたおせちをそっとリビングに持っていけば、ナルトは大喜びでお重のふたを開ける。
「カカシ!!俺ってばおせちはじめて見た!!」
うれしそうにキラキラとした目でずっと見ているナルト。
その横でカカシは付属でついてきた餅をトースターに入れる。
「・・・」
フと視線を戻せば、何やら悩んでいるナルト。
「どしたの?」
「・・・なんか・・・たりないってば・・・」
「なにが?」
「お椀に入ってて、おもちが入ってるヤツ・・・」
さきほどまでの大喜びと違い、なんとも真剣に首をひねるナルトに問えば、どうやらテレビでみたおせちには「雑煮」があったということらしい・・・
「じゃあ、作ってあげるから、ナルトはお皿とか用意してくれる?」
雑煮なんて作ったことのないカカシであるが、普段から料理はしているし、常識の範囲内であれば作り方はわかる。ちょっと隠し味とか、そういったことはできないが、
鍋に湯を沸かして、手早く料理していく。
ちょうどいい感じで出来上がったころ
『ピーンポーン』
リビングに響くチャイムに、ナルトが玄関に走る。


「カカシ〜!!!シカマルとアスマ先生が来たってば〜!!」
アスマの手には一升瓶。シカマルの手にはお重。
「あけましておめでとうございます。めんどくせぇがよろしく頼むぜ」
シカマルのらしいあいさつに、合わせてアスマも適当にあいさつして、さっさと荷物を下ろす
「ちょっとおせちが余ったんで、ナルトにくわせてやろうとおもってな。カカシ・・・なにつくってんだ?」
どうも里の大人が考えることは一緒だったようで、アスマが気まずそうに出したのは、酒のつまみにもなりそうな肉主体のおせち。
一方でカカシの頼んだのは海鮮系のおせちだったため、アスマは若干胸をなでおろしつつ、キッチンに立つカカシを覗く。
「雑煮つくってたんだよ」
そういってお盆に乗せたお雑煮と人数分の祝い箸を並べて席に着く
「今年もよろしくおねがいします」
かかしのあいさつと共に、みながお雑煮のふたをあける
「わーーーーー!!!」
ナルトは嬉しそうに見ている一方で・・・
「なんで角餅!?しかもかつおだしのしょうゆ味・・・丸餅鶏だしのしおだろ・・・」
「・・・まんどくせぇ・・・丸餅鶏だししょうゆだろ・・・しかも毬麩がはいってねぇ・・・」
「それぞれうちの味主張をしない!!」
アスマとシカマルの主張を軽くけん制して、カカシが食べ始まる・・・
「「・・・」」
無言で食すふたりであるが、若干不満げ・・・
「ま、うちではナルトは入れなかったけどね・・・」
「カカシ!!じゃあ、これが『うちの味』?」
カカシのこぼした一言にニコニコとナルトがお椀を出して笑う
「そうだね。うちの味だ」
ほんわかと温かい料理が温かい空気を運ぶ。

「この餅・・・あんこはいってねぇじゃん・・・」
シカマルの脅威の一言が発せられるまでは・・・



・・・・・・・・・・・・・
謹賀新年
一昨年あたりに出張で九州に行った際に、雑煮の餅にあんこが入っていました。
衝撃的すぎて、笑いました。

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