カカシ、楽しみを見出す

カカシの屋敷に、ナルトのプライベートルームとなった屋根裏ができた。
そこは、おそらくテンゾウの心配りであろう小さな窓から太陽がサンサンと降り注ぎ、小鳥がとどまれるように出窓となっていて、動物の大好きなナルトには非常に嬉しい作りになっている・・・



「ムフフ・・・」
そして、出窓の作りに喜ぶ男がここにも一人・・・
屋敷の主であるカカシ。その人であ。出窓であるが故に、窓の下には空間があり、カカシはそこからナルトの部屋の音声を聞き、ナルトが寛いである一人の空間の物音を聞き、出窓からさりげなく気付かれぬ様に中をのぞき、普段は見られないダラダラしたり、なんだかとつぜん歌いだしたりする可愛いナルトをのぞき見しているのである。
何といっても、ナルトは普段は大げさなくらい騒ぎ倒すお子様丸出しなのであるが、肝心なところが奥ゆかしく、いまいち主張とか、そういうものをしてもらえない。カカシは、ここからのぞくことで、ナルトのちょっとした主張だったり、欲しいものなどをリサーチしているのである。
まぁ、リサーチで終わるような人物ではないのであるが・・・


「カカシ・・・今日も書斎にこもってるのかなぁ?さみしいなぁ・・・俺ってばこんなにカカシのこと大好きなのに・・・」
部屋の中では、ナルトが最近の悩みを一人ごとで語っている。最近のカカシはナルトの部屋をのぞくことが楽しくて仕方がないため、ナルトには書斎で仕事があると言ってあるのである。基本的にはナルトは忍にあるまじき素直さなので、信じてしまい、今日も今日とて邪魔しないように・・・ということで、こうして部屋にこもっているのである。
「カカシ・・・さみしいってば・・・」
ナルトは、プライベートルームということで、シカマル曰く、自分以外入ってこない空間という言葉を鵜呑みにして、まさかのぞかれているとは想像せず、こっそりと時間のあるときにカカシそっくりに人形を作って、一人でいる時はそれを抱っこしているのである。
「は・・・かわいい・・・」
カカシが外から、ヤバいくらいに熱視線を送られているとも知らずに、抱きしめているカカシ人形の耳に噛みついて気を紛らわす
「カカシのお仕事はいつ終わるってば・・・ヨウコさんはイルカ先生とお出かけだし・・・」
ナルトはもうかなりさみしいらしく、ちょっと涙目である・・・
「カカシ〜・・・さみしいってば・・・会いたいってば・・・大好きだってば・・・」
小さな小さな声でささやくナルトの声は、部屋に響くことなく、カカシ人形の綿に吸収されてしまう・・・


一方で、出窓のしたにいる腐っても忍であり、常人より発達した聴覚を持つ元暗部の腐れ上忍カカシは、はなから大量の血を出し、幸せに浸っている・・・
ナルトの奥ゆかしく恥ずかしがりやなところも大好きなカカシであるが、こうして直球の言葉を聞くことも大好きなのである。
「ぐはぁぁぁぁぁぁ・・・」
不思議な息を吐き出しつつ、なんとか気配が漏れださないようにしつつも幸せをかみしめるカカシであるが、部屋の中から小さく『スン』なんて、ナルトがはなをすする音が聞こえてきてしまえばそれまで。
慌てて書斎に戻り、大きな声でナルトを呼ぶ
「ナルト〜?お仕事終わったよぉ!!!」
その声に反応して、ナルトが駆け下りてくる。
そのナルトの目の端に、小さく輝く涙のかけらを見つけてしまったカカシは、しばらくの間は、ナルトを構うべく、屋根裏の楽しみをとっておこうと心にきめるのでした。

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