カカシ、邸宅を改造する

「・・・いいなぁ・・・シカマル・・・」
事の起こりはこの一言。
カカシの愛情あふれる待遇にも満足しているナルトなのであるが、最近、シカマルとアスマの家にある屋根裏なるものを見せてもらった・・・
日当たりのいいちょっと隠れ家のような楽しげな場所であり、この邸宅においてはありえない絶対的一人の空間なのである。
ナルトにとって、カカシがひっついてくるのは日常でありまったく不満はない。しかし、ナルトは一人部屋なるモノに憧れを持っているのである。この屋敷は常にカカシのそばにいるような作りになっているし、大半がトレーニングルームや、演習場、武器の手入れをする場所など、ふたりの共通の場所なのである。カカシは研究室や書斎を持っているが、ナルトには居間と寝室しかない。
とりわけ不便に思ったことはなかったが、シカマルに見せつけられたプライベートルームにナルトは憧れを抱く。カカシの独占欲は相当なものであることをナルト自身自覚している。きっと欲しいといえばなんだってもらえることもしっているからこそ、言えない。ナルトは我がままになりきれていない部分があるのである。カカシはナルトの過去の虐げられた分を取り戻すべく甘やかす。だからこそ、ナルトは自制しているのである。際限がなくなると甘えは堕落につながることを本能で悟っているから。




しかし、一筋縄では行かないのがカカシ・・・
「よう。カカシ」
アスマが咥え煙草で近寄ってきた。
「なぁ・・・お前の家にいてからナルトのため息が増えたんだけど・・・」
明らかに「お前ら何したんだ」というような殺気交じりの質問に、慣れた様子で煙草をくゆらして
「しらねぇ・・・ただ、シカマルが最近『プライベートルーム』なんて名前を付けて俺を立ち入り禁止にした屋根裏見てから、『良いなぁ』とか言ってたぞ?お前、あいつにあいつだけが寛げる空間与えてるか?いつも誰かと一緒じゃあいつも根本からやすめねぇだろ?」
カカシはちょっと愕然とする。カカシの入れないナルトだけの空間なんて考えもしなかった・・・よくよく考えれば、カカシは研究室を持っているし、そこにナルトは入らないし、入れない。しかし、ナルトの寛ぐスペースは居間しかない。それを考えると、カカシは上忍待機所を窓を壊す勢いで開けはなって飛び出し、最寄りの大工(テンゾウ)を文字通り捕まえた。
「か・・・カカシ先輩!?」
もはたテンゾウにとっては厄災でしかないカカシの登場に、慌てふためき、もう捕まってしまったことに深い落胆の色を示す。
「ハァ・・・今日はなんですか?また改築ですか?」
ニヤっとわらったカカシが、テンゾウに改装の計画書を渡して
「一週間でできてたらいいなぁ・・・」
と、あきらかに希望ではない迫力で希望してくるもので、テンゾウはコクコクと首を動かす。
「じゃ、よろしく」
言い残して瞬身で消えたカカシにテンゾウは深いため息をついた。



数日後、任務から帰ってみれば、家の前には明らかに場違いに倒れている暗部と、あきらかに高くなった屋根の屋敷。
「テンゾウ。頑張ってくれるのはいいけど、俺とナルトの進路を邪魔するなんて迷惑。」
一言の後に蹴り飛ばされたテンゾウは、心底自分の不遇に泣いた・・・





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