カカシ、過去と向きあう?

カカシは幸せに満ち溢れた今を非常に満足して堪能している。
膝の上には抱っこされて安心しているナルト。
「ごめんくださ〜い!!!」


遠くで聞こえるこの至福の時間を潰す邪魔ものの声・・・
「カカシ・・・お客さん・・・」
夢うつつのナルトは、フラフラとカカシから立ち上がり、ソファにもたれかかって寝なおす。カカシは非常に残念極まりないことを臆面にも出さずに、にこやかに
「寝室で寝ちゃいなよ。あとで(ヤラシイことして)起こすから」
一部ナルトには聞こえない特殊音波でお送りしております。
ナルトはフラフラと寝室に入っていった。カカシはそれを見送って、先ほどから聞こえてくる不愉快な声に応えるべく、玄関へと向かっていく。


「は〜い。」
玄関の奥からカカシが気だるげに応える。
「カカシ!!!」
そのカカシにとびかかって抱きついてきた女性。カカシは瞬時に判断する。「ヤバい!!!昔のセフレだ!!遠方任務に行ってってすっかり忘れてた・・・ナルトにバレたら良くて別居悪ければ・・・」この思考がカカシの脳内で0,2秒とかからずにめぐる。ナルトに出会う前、カカシはだらけた性生活を送っていた。今いる女性もその当時のお付き合いのうちの一人・・・ナルトと付き合うに当たり、そのような関係を片っ端から粉々に粉砕して隠蔽して、清算したと思いきや・・・
現れたのは、清算しきれていない過去。しばらく遠方の任務についていたくの一で、おそらくナルトとカカシの関係など知らない。知っていたらこないであろう・・・
「カカシ。ずいぶん大きな家に住んでるのね?」
悩ましげに胸をカカシに寄せ、足を絡ませ、過去のカカシであればすぐにでも押し倒していたであろう状況に冷や汗を流す。
「・・・ねぇ・・・今夜・・・」
女性の言葉にさらに冷や汗。このままここでこの状況の時にナルトが起きてきたら・・・


「あら・・・あなた。なになさっているの?」
カカシの背後から聞こえてきたのは、あきらかにヨウコの声。
「え!?」
カカシの驚いた声に、くの一は慌てて体を離し、状況を見定めるようにヨウコを見つめる。振り返ったカカシが見たのは、普段の9本の尻尾や狐耳のない。着物ではなく洋服で、ナルトが普段付けているエプロンを付けた絶世の美女であった。しかし、声とチャクラは明らかにヨウコである。
「・・・あなた・・・こちらの方は?」
ヨウコがにこやかにくの一に「主人がお世話になっております」といって会釈をして、カカシに紹介を促す。
「・・・俺の古い友人。」
「・・・はじめまして。」

「どうぞ上がっていてくださいな。今お茶を・・・」


「その必要はありません。任務の帰りなので・・・」
くの一が状況を察し、カカシの伴侶だと考えたようで、早々に立ち去ろうとくるりと態勢を変えた瞬間・・・
「では、失礼させてもらうかの」
ヨウコが圧倒的なスピードでくの一の首に手刀をかまし、気絶させる。

「ヨウコさんありがと〜!!!!!」
ナルトの寝ているうちに事が片付いたカカシは、安堵のため息と共にヨウコに向き直る。
くの一を昏倒させた後、ヨウコはくの一からカカシの記憶のみを吸い取り、二度と関わることのないように仕向けた。気を失って精神の防御のない状態で、すぐさま終わった術にカカシは感嘆しつつも、ナルトにばれなかったことへの安堵にへなへなと膝を折る。


「カカシ・・・イルカと二人で旅行に行きたいのう・・・」
「(テンゾウが)手配します!!」
それからしばらく、カカシはヨウコに頭があがらなかったとか・・・





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