カカシ、戦闘態勢4

「ま、第2ラウンド開幕ってことで!!」


「両者止まれ〜ぃ!!!!!!」
けたたましいまでの大声と共に現れたのは、三代目火影。
里の尊敬を一心に受ける稀代の名君。
「・・・火影さ・・・ま・・・」
小声でそちらを見つめたまま、敵忍の動きが止まる。手に作られたチャクラの球などを消滅させたり、落としたり、一通り火影が当たりを見渡し終わる頃には、一体を静けさが包む。


「ふむ・・・この十数年間耐えてきたそなたら古参の忍が、今になってなぜナルトの抹殺などと考えたんじゃ?」
先頭でカカシと術を交えていた忍の方へ目線を向けて火影が話しかければ、恐ろしいほどの視線でナルトの入っているつぼみをみる。
「あの化け物だけなら容認してきました。しかし、あの化け物が突然こんな恐ろしいものをだしたんですよ!!しかも、里の秘法であるカカシにまで手を出し、あまつさえ共に暮らすなどと・・・子も為せない。化け物の男が、里の宝を汚したんです!!」
「・・・む?我がナルトから出てきたせいか?」
「・・・俺がナルトをゲットしたせい?」
ヨウコもカカシも首をひねる。それぞれ、悪いことをしている自覚もなければ、悪いことだと思う余地もない。
「ちょっと待て。我はナルトの意志に関わらず、四代目火影から、ナルトの危機には顕現するという契約の元、ここにおる・・・」
ヨウコは会話の途中に割って入る。
「そもそも、そなたら里者がナルトを大切にしておれば、我はナルトの一生と共に永久に眠ったまま死ぬ運命じゃった。それを呼び醒ましたのは、そなたらであろう。己の意志で選ぶこともできず。ただ四代目の息子として生まれてきてしまっただけで、あの日に生まれてしてしまっただけでこんなにも過酷な運命に立ち向かわねばならんナルトの気持ちを考えよ!!」
ヨウコの叫びは、なんとも悲しく、なんとも辛い怒りが込められている。
己の子どもとナルトが重なるのだ・・・ただそこにいただけで、皮をはがされて生きながらにして殺されて、苦しみぬいて生涯を終えた我が子らと・・・
ヨウコは涙にぬれた目で、敵忍を睨みつける。




「・・・俺はナルトに俺の子産ませるつもりだけど?」
真剣な場面
真剣な話し
真剣な言葉
に割って入る真剣な天然ボケ
「「「は?」」」
火影もヨウコも敵忍も・・・味方も・・・一斉にカカシに注目する。
「だって、俺もうナルトなしで生きて行けないし〜。
ナルト以外には起たないし〜。
だから、今必死で研究して、なんとかナルトを女の子にする研究中だから・・・」
カカシはニコニコと場にそぐわないのも大概にしろって言いたくなるような顔で、ナルトの入っているつぼみと、周りを見渡す。
「そもそも最初に惚れたの俺だから。一目ぼれでさ〜・・・聞いてくれる?ナルトったら俺がどんなに贔屓しても気付いてくれなくてさ〜・・・むしろ最初は警戒されてさ〜・・・でもちょっと一楽に連れて行ったらなんか仲良くなって、俺って里で一番のイケメンじゃん?しかもお金持ち。あとはナルトの予定を調べ上げて偶然を装って何回か出会ってしまえば、向こうも自然と運命?みたいなことになるでしょ?こっからが腕の見せどころで、いかにして周りの邪魔な虫どもに先越されることなく、ナルトの恋心を発展させるかっていうことでさ〜・・・」
邪魔な虫・・・というところでサスケを睨めつけることを忘れず、一気にまくしたてていかに鈍感なナルトに己のことを意識させるかで非常に苦労したんだというカカシのノロケが始まった・・・
まわりは付いていくことができずにただポカン・・・と見ているだけ・・・
「・・・でさ〜なんとか初デートにこぎつけたんだけど、ナルト恥ずかしがりやでホテル入ってくれなくて・・・
やっとで、俺の家につれこんで・・・
初体験が俺なんてナルトはなんて幸せなんだろうね・・・
一緒に暮らし出してからもなかなか抱かせてくれなくって・・・
毎晩可愛がってんのに初々しくて・・・
あ〜・・・ナルトかわいい!!」



この間、約15分にわたり、馴れ初め編、初デート編、初エッチ編、日々のナルトの変化編、などなどのカカシのモーレツな勢いのトークに付き合わされ、徐々に皆が疲弊していった・・・
「・・・火影様・・・もしや、ナルトは非常にかわいそうな相手につかまってしまったのでは・・・」
先ほどまでカカシと盛大にぶつかりあっていた上忍が、なんともげっそりとした頬で、これまたげっそりとしている火影に耳打ちをする。
「確かに・・・あれは非常にかわいそうだのう・・・」
出会いからなにからを、里の忍の結構な数に聞かれ、あまつさえまだまだカカシはしゃべり続けている現状に、先ほどまでの剣呑な目線から一転し、憐れんだような目線をナルトの入っているつぼみに向ける。

子の状況下で唯一面白そうに笑っているヨウコ。
「みなさん!!無事ですか!!」
医療忍をつれて遅れて参上したイルカを見つけ、ヨウコが駆け出す
「イルカ!!!!!」
抱きとめたイルカ。その視線の先には「助けて!!」と顔に書かれている憔悴しきった敵味方・・・ついでに饒舌にしゃべり続けるカカシの姿・・・
瞬時に状況把握をしたイルカは、カカシに近寄る。
「・・・だからナルトは世界一かわいい!!」
この言葉を聞き捨てならなかったらしい担当上忍の面々も、先ほどまでの憔悴しきった顔から一変
「一番可愛いのはヒナタよ!!」
「いや!!一番はシカマルだ!!」
などと、カカシに真っ向勝負を挑んでいる。


イルカは踵を返し、爆笑しているヨウコに
「この状態停められる?」
ニコリとほほ笑んで頼めば、ヨウコもまたニコリと笑って、明らかに膨大な殺気を騒ぎ立てている3人に叩きこむ。忍の性で黙ってその場から飛び去り、一定距離から振り返り、ヨウコを見つめる。
そのヨウコの前に立っているイルカからは、周囲の人間に「角がある・・・」とささやかれるほど怒りが顔に、体に雰囲気に現れている・・・
「そこの三人!!こちらにきなさい!!あと、今回の首謀者もです!!
人に迷惑をかけてはいけないとアカデミーで習ったでしょう!!」
仁王立ちで正座させられている大人をしかり飛ばすイルカ・・・
「かっこいい・・・」
ヨウコはそんなイルカの背を見てつくづくため息を吐く。



その後、なんとも可愛そうなナルトがこれ以上の苦労をさせないためにも、里の繁栄のためにもさっさと女房にしてしまえ!!ということで、女体化の研究に熱心になる古参上忍が続出したとか・・・





        FIN

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