カカシ、戦闘態勢3

「カカシや・・・我にはあやつらの肉親を殺した責任がある。我が相手をしよう。生徒を守れ・・・」
テンゾウの作った木の壁も着々と壊されていく。精神が肉体を凌駕してしまっているらしく、あきらかに戦闘を無理かと思われるような者まで火遁を放っているのが、壁の隙間から見てとれる。


「でもヨウコさんは戦いたくないんじゃなかったの?」
カカシは疲れてへたり込んではいるが、剣呑に光った目をヨウコに向ける。
「我は戦いを好みはせん。しかし、守るべきモノのためとあらば、修羅にも神にもなろう。ナルトの仲間は我の仲間じゃ。」
ニコリと笑うと、ヨウコがスッと立ち上がった。

その背にたたえたチャクラ紅く、下忍たちを委縮させるに充分であった。
また、そのチャクラを感じとった敵忍たちが足止めすることも、また然り。
「クソッ!!化け物の親玉のお出ましかよ!!」
壁の向こうでうろたえる気配がする。
「・・・そなたらは我を討とうとしていたのではないのか?それを恐れてどうする?」
ヨウコが語りかければ、壁際にいる新米上忍と思われる真新しいベストを来た敵忍が答える
「俺らはカカシさんと戦えるって聞いたから腕試しで来たんだ!!それに、あの九尾の化け物は里の禁忌だろ!?下手に殺しでもしちまったら俺らの首が飛んじまう!!俺らは、年嵩の上忍が、この戦闘訓練に参加したらカカシさんの本気が見れるって・・・」
明らかにだまされている。熱狂的なカカシファンは未だに里内に大勢いて、現役を退いているカカシの戦闘を生で見たいと願っている。
そんな心を利用され、戦力に組み込まれてしまっている時点で、忍としてどうかとは思うが、里内の上忍が演習といえば、それが嘘とは思うまい。


カカシは隣でため息をついているアスマに苦笑いを送り、車輪眼を隠す。
「よっこいしょ」
完全に戦闘の意志をそがれているかのようにさっさと壁の方へと歩く。
「君たちはここが演習場にみえるのかい?もうちょっと周りの状況をみなよ?これは立派な里への反逆行為なの。君たちはそれに利用されてるの。わかる?もし嘘だとおもうならそれでもいいけど、俺の本気を見る=君たちの死だからね?」
にこりとほほ笑んではいるが殺気があふれんばかりに放出され、ヨウコとカカシのダブルパンチで、しかもなぜか自分が参加している演習は、里内第一級犯罪の反逆だという・・・新米上忍たちはあまりの出来事にあわてた様子で、さっさと逃げていった。
その様子から異変を感じ取ったのであろう前陣にいた数人も逃げていった。
それと同時に彼らの影分身も消え、あたりは大分見渡しやすい環境となった。


「さて、そろそろ敵さんの本体もわかってきたし、アスマ!!紅!!いっときますか?」
カカシは今一度車輪眼を晒し、前に立って妖気をほとばしらせているヨウコをさりげなく後ろに押して、テンゾウに壁の解除をしてもらう。
目の前には20人ほどの上忍や特別上忍。一線を退いて久しい者たちだらけではある。
しかし、その目に見えているのはナルトの匿われている木のつぼみのみ。
過去にとらわれ過ぎた憐れな犠牲者。
「カカシ。殺さずに我のもとへ。記憶を消す。」
ヨウコの言葉にうなずいて、カカシ達担当上忍はそれぞれの技を繰り出すべく、チャクラを練りながら前進する。
カカシの雷切りと共に、上忍同士のぶつかる派手な爆発音が鳴り響く・・・




      つづく
「ま、第2ラウンド開幕ってことで!!」

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