カカシ、戦闘態勢

木の葉の慰霊祭当日。
カカシは走っていた。
「嫌な予感がする・・・カカシよ。ナルトのもとへ行け!!至急応援部隊を送る」
火影にそう言われ、カカシはなんとも言えない恐怖心に襲われた。
ナルトの居場所を知っているのは、火影、カカシ、暗部のナルト警護にあたっているテンゾウ。
ナルトの誕生日にも関わらず、ナルトは火影直轄の施設に軟禁されている。その施設は外部からのチャクラ感知を不能にし、ナルトとヨウコの存在を消すことのできる唯一の空間。慰霊祭の今日はナルトにとってもっとも危険な日である。
カカシは、細心の注意を払い、誰のもついてこれないであろうスピードで森の奥深くにある施設へ急ぐ。言いようのない不安がカカシを襲う。



「ただいま!!」
息を切らし、数多あるセキュリティーをパスしてナルトたちがいる施設に入れば、ナルトは木遁使いのテンゾウが作ったブランコで楽しそうに遊んでいた。
「カカシ〜!!おかえり!!」
ナルトはブランコから飛び降りてカカシを迎える。
「またサボりかぇ?」
ナルトの遊ぶブランコの横でナルトを見守りつつも、本を読んだり、あくびをしたりしていた。カカシに出現と同時に本を閉じ、イルカが来ていないのにもかかわらず、カカシが来たことへの不満をタラタラと漏らしだす。
「ヨウコさん・・・サボりじゃな〜いよ?俺は火影様にナルトを守るように言付かったの。そんで、イルカ先生もすぐ来ると思うよ?」
カカシはナルトを膝にだき、テンゾウが出したお茶をすする。
「時にカカシ・・・この場所は不思議じゃ・・・膜がかかっているような感覚になる。」
ヨウコは、カカシが座っている方に向き直り、天井を見上げつつ聞く。それにこたえたのはテンゾウである。
「ここはどんなに優れた忍でも外から中の状況が探れないような結界が張られてるんです。上忍にはいろいろありますし、ここでは様々な術の継承とかもされるんで、他からの一切の介入を許さない建物なんですよ」
そういってテンゾウが軽く手を動かせば、先ほどまで見えていた天窓が消えた。
「僕も建設にかかわったんで・・・」
ウィンクして実演すれば、ナルトが「すげぇ!!」と手を叩き、カカシがゴツンとテンゾウの頭を叩く。
「うちのナルトを誘惑しないで・・・」
カカシ・・・目がマジ・・・
「ところで、テンゾウや・・・ここはそなたらの感覚までくるわすのかぇ?」
ヨウコはドアを睨めつけて、剣呑な表情になる。
「え?・・・まぁ、こちらから外の状況もわかりづらくはなります・・・」
テンゾウの言葉と共に、ヨウコは強大なチャクラを開放し、毛を逆立ててドアの方を睨む。
「相当の数の手練じゃ。ナルトや。危ないので、奥に引っ込んでおれ。」
ヨウコが言うと同時にカカシがナルトを壁際に投げるようにして移動させれば、テンゾウが強固な蔦でナルトを囲い、保護する。
「ヨウコさん!!だいたいどれくらいの人数?」
「ふむ・・・だいたい20人くらいかのう・・・影分身をしておる者もおるであろう。みな年嵩の上忍や特別上忍じゃ。追尾の特別上忍がおる故、そやつに場所をあばかれたんじゃろうな・・・」
ヨウコはナルトの方を見、蔦で隠されているナルトににこやかに視線を投げると
「ナルトや・・・おやすみ」
そういって、ナルトを強制的に眠らせる。
「みな怒りに逆立っておる。禁忌など頭にないであろう。ナルトに聞かせるには忍びない。」
カカシは無言でうなずくと、ありったけの装備を出し、室内に結界を張る。
テンゾウはドアを蔦で目張りして留める。そして、こちらから見えるように、壁をマジックミラーのような状態に変化させ、状況を確認する。
施設の門をこじ開け、隠密行動をしなければならないはずの忍がそこかしこを焼きはらい、結界の呪符を焼き切っていく。
影分身が明らかに多い。実力では勝てるであろう。しかし、年嵩の経験値は舐めてはいけない。
一人の忍の手が、玄関のドアにかかる
カカシとテンゾウの緊張は頂点に達する。
『パカ』
突然床下が開いた。
「よぉ。応援部隊だぜぇ」
出てきたのは咥えたばこのアスマ率いる第10班、紅率いる第8班、そして、サクラ、サスケである。
「イルカは〜!?」
ヨウコは不満そうに尻尾を下げる。
「イルカ先生は、医療班を先導してる」
簡潔なサスケの答えに、ちょっと期限が浮上したヨウコは、みなと共に正面を見据えた
「ナルトは俺たちが守る!!」
カカシの大きな決意と共に、ドアが破られた。
木の葉の戦争が始まる。

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