カカシ、饒舌

ヨウコさんからの話をきいてからというもの、俺は悩んでいる。この慰霊祭の在り方は正しいのであろうか?慰霊祭で鎮魂してもらえるのは、確かになんの罪もない人々や、使命をまっとうして殉職したたくさんの仲間たちである。しかしその一方で、なんの罪もない動物たちも、種を守り己を守って死んでいったたくさんの命は、無残に放置されている。
飼われているペットであれば、手厚い供養がある。忍犬なんて余計・・・
でも、日々訓練や、気配を感じたという理由だけでクナイの餌食となっている命の供養はないではないか。10数年たっても滞りなくしめやかに営まれる慰霊祭によって命が奪われたことを悔やみ、悲しむことを知っているはずなのに、里人は慰霊祭が近付くとナルトを狙い、里に近づく狐を殺す。食べるでも、皮をもらうでもなく・・・そんなことをしている人間たちに、過去の命を慰めるだけの美しさがあるのだろうか?
俺は柄にもなく真剣に悩んでおり、ナルトもナルトなりに何かに悩んでいるようである。



「カカシや・・・気にすることはない。我とて今は牙の折れた獣じゃ。ナルトとナルトが関わる人々が健やかにあればそれでよい。」
ヨウコさんは落ち着き払った声音で話しかけてくれる。安心させてくれようとしているのであろうが、かえって落ち着かない。これほどまでに優しい心を、なぜ人間はもっていないのだろう。ナルトにだって悲しむ人がいることを忘れている里人に嫌気がさす。こんなにもイタイ胸に名前を付けるとすれば、悔恨。
自分自身が、大切な師匠を奪われたことによって九尾を、果ては会ったことのなかったナルトを恨んでいたことへの後悔と、自分自身への嫌悪・・・
苛まれる後悔は、なんとも苦くてエグい。
「カカシ?俺ってば、昔、ヨウコさんさえこの腹にいなければよかったのにって何回も思ってたってば・・・」
グスグス泣きながら俺に懺悔するナルトを、ヨウコさんはなんだか複雑な顔で見守っている。
「ナルト・・・大丈夫・・・里人は未だに思っているだろうよ・・・変えよう!!この里を!!ナルトは火影になるんだ。そして、里のすべての人々に教えよう。俺たちの犯した罪のしっぺ返しだったということを・・・ヨウコさんは悪くなかったってことを・・・」



カカシはそれからナルトが元の屋敷に戻れるまでの間ずっとナルトに付き添い、術を教え、体術を磨き、勉強をさせた。
ナルトは文句もいわずに着いていく。ただただ里を変えたいがために。
ナルトは改めて、火影になるという目標を高く高く掲げるのであった・・・




                FIN





こんばんは。管理人のレオです。
最近、猫の惨殺体や、ボウガンの刺さった野鳥のニュースを見ました。
実際に我が家の近くの公園で、ご近所の飼い犬が無残に傷つけられて発見されました。その犬は運よく一命を取り留めたそうですが、他人事のように思っていた自分に激しく自己嫌悪に陥っています。
馬鹿じゃないのって思ってました。ニュースで聞くまでは全く現実味がなかったからです。でも、今回、身近に起きたことで色々考えました・・・
世の中の教育が間違った結果なのではないだろうか・・・とも思いました。学校で教えるのはなにも勉強だけではないはず・・・
とっ組み合いのけんかして、蹴られて殴って殴られて、痛みをしって大人になって欲しいと思います。親は下手にとめたり仲裁に入る前に、ちょっと様子を見ることも大事だと思います。
そんなことを思いながら書いてました。
動物も人間も叩かれれば痛いし、刺されれば痛いなんてもんじゃない。
死んでしまえばそれで一生が終わってしまうのはなにも人間だけじゃない。
きれいごとだと馬鹿にされたけど、「人も動物も同じ命」って言葉があるけど、あれは詭弁ではなく事実だと思います。
自分の周りの人から変えられていけばと、思ったレオなのでした。 FIN

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