カカシさん、暗部になる

ここは木の葉で一番大きな病院の最上階。
「ナルト〜?今日は何食べたい?」
「ラーメン!!」
病院で一番大きな部屋であり、一番お高い部屋に難なく入れてしまうカカシと、そこに疑問を持たないナルトは今日も今日とてバカップル・・・
ナルトが襲われてからというもの、ナルトには完治までのしばらくの間、暗部の護衛が付くこととなった。ナルトが弱っていると知れば、ナルトの中の九尾を狙ってくる輩や、下手をすれば里の者たちに狙われる可能性すらあるからである。
最近暗部の中では「特SS任務」と呼ばれる任務がある・・・それがこのナルトの身辺警護である。この里で一番の誉れ高い忍が敵なのである。
しかも・・・
「カカシさん・・・ナルトはまだ胃が弱いので病院食の方が・・・」
とか、余計なおせっかいかけようものなら
「・・・・・・・だれの許可を得て『ナルト』なんて呼び方してんの!?っていうか、そんなのわかってるからね?次に姿現したら俺おこっちゃうよ?俺とナルトのスイートルームに野郎が3人も入りこんでるってだけでむかつくのに・・・だいたい暗部なんだからもうちょっと気配消してよ!!そして空気読んでよね・・・それに・・・・・だから・・・・俺も〜・・・ナルトはかわい・・・で、・・・・・・・・・・だから・・・・・・・」
この1週間で5人の暗部が精神を病んでいる。原因ははたけカカシからの苦情とのろけである。忍術、体術それらに絶対の自信と実力のある里のエリートをもってしても、どうにもならないほど強い敵が警護の対象のそばにいるのである。。。最初はAランク任務であったうずまきナルトの警護は、日に日にそのランクと給金が上がっていき、今では最高ランクの特sランク。給金は下忍の年収を軽く超える。
「ただ見守り、ナルトが健康になるまでの手助けをする」という簡単な内容に伴わないランクのため、知らない者たちが任務に名乗りを上げ、カカシにことごとく駆逐されていくのである。最高ランクの特Sであるが、いままでのどんな任務より過酷だという命からがら任務なら逃げ出してきた暗部の一人が付けたのが『特SSランク』。今では里で一番の給金が支給される任務なのである・・・。


さて、所変わって、里の中心地。執務机に肘をつき、悩みに悩む老骨一人。可愛いナルトの護衛は必要であるが、これ以上暗部を病院送りにされては困る・・・三代目火影は態勢を立て直し、おもむろに筆をとった。
『任務 特Sランク 暗部はたけカカシとして、今日よりうずまきナルトの身辺警護と、健康管理を行うこと   以上』
苦渋の選択であった。頼みのヨウコはイルカとラブラブなので、もうカカシをなんとかできるものがいないのである。暗部は引退しているが、このようなことであれば喜んで戻るだろう・・・火影は側仕えの忍に書簡をもたせ、頭を抱えた。かわいいナルトの種の警護なのであるが、火影ははたしてナルトのためになるのか不安でならないが、他に方法がないのである。
火影はナルトの無事を祈りつつ、通常の職務に戻るのであった。



病室に書簡が届くと、カカシはナルトのベッド端に座って書簡を開いた・・・
その瞬間にカカシは書簡を暗部の方へ放り投げ、「君たちもう帰っていいよ」と言って、早々に窓という窓、ドアと言うドアに結界やらトラップを仕掛け、外部からの侵入を拒むように作り上げ
「これで二人のお城になったね」
と、ナルトにほほ笑み、書簡をナルトにも見せる。
「カカシは暗部に戻るの?」
ナルトが不安げに聞けば、カカシは「期間限定でね」と安心させるように頬笑み、ナルトの頭を撫でまわす。
「でも、カカシは暗部っぽくないってばね?」
ナルトのバック然とした疑問も心得ていたかのように、カカシはさっと印を組み、暗部装束に背中に太刀、頭には仮面を付け、どうだとでもいうようにナルトの前に立ってみれば、ナルトはポカンとカカシを見つめ
「かっこいいってばよ・・・」
と、つぶやいた。それを耳敏く聞きつけたカカシが、ナルトを押し倒したのは言うまでもない。


こうして、里の暗部壊滅は免れ、なにもしらないナルトがお見舞いに来ない友人に若干の苛々を募らせたものの、カカシとナルトのハッピー入院ライフはナルトが担任するまで続いたという・・・



            FIN
「おい・・・ドアに中からしか開けられない封印術がかかっててはいれねぇ・・・」
アスマがガチャガチャとドアノブをまわすも、ドアが開く気配はなく、シカマルが口癖を交えつつ対策を練る。
「チッめんどくせぇ・・・」
「・・・ナルトにおいしいおかしもってきたのに・・・バリバリ・・・」
「ちょっとチョウジ!!お見舞いのお菓子たべちゃだめよ!!まったくカカシ先生の独占欲にも困ったわね・・ねぇ、サスケく〜ん!!!」
床にこぼしつつラーメンスナックを食べ散らかすチョウジを叱りつけつつもちゃっかりサスケの隣をゲットしているいの。
「カカシの野郎・・・」
青筋立てて車輪眼をまわしているサスケに、いのの反対サイドでサスケに話しかけるサクラ
「サスケ君はお見舞いになにもってきたの?」
ガヤガヤと賑やかな廊下の気配を感じつつ、結界を強固なものに作り替えるカカシなのでした。

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