カカシさんと忍5

ホテルのような病室には、カカシが選りすぐった医療忍。警護には火影が選りすぐった暗部・・・そこまでしなければ守ってやれないと自覚したのは、何も火影とカカシだけではない。シカク・チョウザ・イノイチの元祖イノシカチョウが、毎日ナルトの病室にかわるがわる姿を現す。管でつながれて命をつなぎ、目覚めてもおかしくないと言われているのにもかかわらず、一週間も目を覚まさない。

「カカシや」

すっかり憔悴し、荒れてしまっている立ち姿のカカシの前に、ナルトが倒れたその日からナルトの中に戻っていたヨウコが帰ってきた。
「ヨウコさん・・・ナルトは?」
カカシはヨウコが思念体として戻ってこられるほどの回復をしていること、ナルトの中から出てきていることで、ナルトの体は大丈夫だということを確信した。しかし、起きない。
「ナルトの心が疲れて閉まっているようでのう・・・我とて尽力しているのだが、今はナルトを『ミナト』が説得しておる」
カカシは目を見開く。幻聴でもなんでもなく、ミナトは側にいたのだ。カカシのために、そしてナルトのために・・・
ヨウコはただただ「我はナルトの体を守るしかできん」とつぶやき、遠くをみるように窓を眺める。カカシは「先生・・・頼みますよ・・・」と、祈りを口に憔悴した体をソファに沈める。


『コンコン・・・ガチャ』
ドアが開いて入ってきたのは火影とアスマ率いる第10班である。
「ナルトの容体は・・・」
シカマルはナルトの様子をうかがい、沈痛な面持ちでベットに横たわる自分が知っている少年より一回りほど小さくなった姿を見る。
「カカシ・・・お前がそんなんでどうすんだよ!?」
アスマはカカシに怒号を発するが、まったく覇気がなく掴まれた胸倉もそのままに「そうだよな・・・」と、小さく小さくうなずき「でも、どうしたらいいかわかんないんだ・・・」そのまま消沈した。
「カカシ・・・任務じゃ」
火影がアスマに掴まれたままの胸倉を離すように促し、「これを申し渡すためにここに来た」と、巻物をカカシに手渡す。忍としての習性で巻物を渡せば即座に開き、任務を確認する。


『任務:「うずまきナルト」に害をなした者を捕えよ。捕縛不可能の場合は暗殺せよ

  任務メンバー:第7班、第10班  』


カカシの瞳に映るものが色を帯びていく。 
「ナルトが目覚める前に、ナルトを脅かすものを駆逐しろ・・・カカシ。そのために必要な人員、設備、時間・・・いかなるモノも儂が許可する。」
火影の言葉にカカシが立ち上がる。待つだけしかできなかったカカシは新たな目標を与えられ、その目には爛々と闘志がみなぎり、他里が恐れる車輪眼のカカシが復活する。
巻物を燃やし、任務への準備を始めるカカシに第7班のメンバーであるサスケとサクラが忍びらしからぬ足音で入ってくる。その目にはカカシ同様に闘志がみなぎっている。


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