カカシさんと忍4

集中治療室で治療を受けるナルト。
カカシはただ治療室の前で何時間もただただ信じてもいない神に祈るだけ。信頼し、尊敬しているミナトに「まだ連れて行くな」とお願いをするだけ・・・
数時間が経過しても、ナルトのいる治療室のドアは開かない。
その間、イルカがきて、アスマ率いる面々が来て、紅率いる面々が来て、そして、火影がきた。しかし、カカシは祈ることを辞めなかった。
ただただナルトのためだけに、ナルトが生きることだけに、祈りをささげた。


『カカシ君・・・大丈夫。僕の子はそんなに弱くないよ。』
  

祈るカカシの耳にもう十数年間聞いていない、聞こえるはずのない彼の人の声が聞こえた。四代目火影・ミナトの声が、確かにした。
その時、長い時間ともされていた集中治療室のランプが消え、医療班の面々が疲れ切った顔で出てきた。
「体内の毒はあらかた中和されました。後はナルト君が目覚めるだけなのです。」
端的な説明を受け、治療室からストレッチャーに乗せられて出てきたナルトはきれいな顔して眠っていた。
「ナルト・・・」
カカシはストレッチャーに乗ったナルトをいとおしそうに見て、すぐにその後を追った。自分に聞こえてきた不思議な声のことなど忘れて、ナルトのためにとカカシが用意した病室は特別室で、ホテル並みの部屋で、きれいな夜景の見える場所にナルトは寝かされた。ベットで眠るナルトにキスをして「眠り姫みたいに目覚めないかなぁ・・・」とか、言いつつ何度もキスをする。
特別室は呼ばない限り看護忍も来ないし、付き添いの人間も好きに泊まれる故にカカシはここを選んだ。
いそいそと着替えを済ませ、ナルトの眠るベットに横になった・・・が・・・


『カカシ君・・・僕の子はまだ未成年だよ?』
不穏な声がした。カカシは強制的に聴覚をシャットアウトすると、ナルトを抱えて眠ろうと、ナルトに手を延ばす。が、どうにも気になる・・・マジで不穏・・・
カカシは仕方なく体を起こせば、そこには誰もいない。ただただ広い部屋と、部屋に似つかわしくない己の忍装束。
『僕は今別次元から話してんの。見えないよ。この声もカカシ君にしか聞こえない。
ナルトが・・・僕の子が僕に会いに来たんだ。もうこっちに来たいって言って、お願いされたんだけど、君のお願いが聞こえてきたら、ナルトがやっぱり帰るって言ってねぇ。だからカカシ君。ナルトをおねがいします。君がいればナルトは死なない。
でも・・・手は出すなよ?』
しっかりと釘をさしつつ、ミナトの気配が消えていく。
カカシは小さく小さく「守ります。絶対」と、誓いを口に、目を閉じた。
決してなくせない存在。なくすことは死を意味する存在。それがお互いであり、カカシとナルトの愛のカタチ。
忍という世界に生きる二人には生死は常に付いてくる。死神が鎌を首にあててくるような場面は何度となく遭遇するだろう。
覚悟と共にそうはさせないとばかりに目を開いたカカシは、ナルトの隣でナルトが目覚めるその時を待った。
「大好きだよ。ナルト。お願いだから目を開けてよ・・・」


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