カカシさんと忍2

スヤスヤと眠りについているナルト。
先ほどまで何もなかった空間に霧が出てきた。室内にあるはずのない霧が密集し、いつの間にか1人の忍が姿を現し、そっと窓を開けると、二人の忍が侵入してきた。
そのうちの一人、木の葉の額当てに横一文字の傷を付けた男が、ナルトに向かって憎悪の視線を向ける
「化け狐め・・・」
ひっそりとつぶやいた忍がクナイをナルトに向けて振り下ろそうとした時・・・
「レン。見てみろ。ただ殺すより面白いことができそうだぜ。」
キッチンのテーブルに置かれた手紙と小さなカップ麺。
レンと呼ばれた忍は、ニヤニヤと狂気をはらんだ笑みを浮かべながらポシェットから小さな瓶を取り出し、キッチンへ向かう。
「レンは木の葉の忍だからな・・・色々と恨みがあるんだ。さて、俺らはこいつの封印式を調べるぞ。木の葉最強の忍が施した最強の封印式だ。きっちり調べるぞ。」
一人がナルトに術をかけて起きないようにして、一人がナルトの腹部にある封印の上に手を当てて、術の如何を調べる。最強の術の習得と解読、あわよくば九尾を掌中に収めるため。



「出来たぞ。そっちはどうだ?」
レンの手には薄手の手袋、その上にはおにぎりが2つ。
ナルトの家のキッチンにあったご飯に小瓶から毒薬を入れて、おにぎりを握っていたのだ。そしておもむろにテーブルのカカシからの手紙の上に置き、ラップをかけると、残りの二人に
「帰るぞ」
レンは小さく言うと、残りの二人が立ち上がり、レンともう一人が窓から外へ跳んで行く。その窓を閉め、残りの一人が「解」と、ナルトへの術を解きながら霧散し、小さな窓の隙間を霧のようなうやむやな存在が消えていく。



「ふゎぁぁぁぁぁ・・・かかしぃ?」
寝ぼけ眼で周りを見れば、誰もおらず、テーブルに置かれたおにぎりが、ナルトの目に飛び込んできた。
「おにぎり!!」
思い出したように空腹を訴えてくる腹に、「カカシはおでかけかぁ」と、手紙を見ながら床に転がったカップ麺と、丁寧に置かれたおにぎりを交互に見つつ「カカシが作ってくれたならこっちにするってば」とか一人ごとを言いつつ、おにぎりのラップをはがす。


「?」
丁寧に置かれているおにぎりはまだほんのりあったかくて、ナルトは「カカシはついさっきでかけたのかな?」とか、思いつつ昔からの習性でほんのちょっとおにぎりをかじる。ナルトは人からもらったものは最初はほんのちょっとかじるだけ。もらいものを思いっきり食べて、毒にやられたのは一回や二回ではない。ナルトの悲しい自己防衛本能である。


「・・・カカシ・・・お前も俺のこと嫌いだったんだってばね・・・それなのに、なんで近づいてきたんだってば・・・こんな回りくどいことしなくても、カカシなら俺なんか一撃で殺せるだろうに・・・あぁ・・・家なんか建てて、好きだとか言って甘やかしてさ・・・ヨウコさんが出てきちゃったから普通に殺す機会がなくなったとか、そんなところかなぁ・・・」


おにぎりに特別な味がした。過去に食べたことのある。特別な調味料・・・
飴玉一個。しかも途中で違和感に気づいてはきだしたにも関わらず、生死の境をさ迷ったほどの毒。アカデミー時代に道でもらったのは小さな飴玉。
今はカカシからもらった・・・カカシが握った大きなおにぎり・・・
俺・・・カカシに殺されろのかぁ・・・なら、いいや。
カカシはあれで天然だから、おにぎり作り終わって安心して手を舐めたりしてないといいけど・・・まぁ、カカシは毒に耐性あるって言ってたし、大丈夫かな・・・


「ヨウコさん。ごめん。俺ってば苦しいってばよ。
それと、カカシ・・・大好き・・・」
ナルトは小さく小さくささやくように唇に愛を乗せて、おにぎりにかぶりつく。愛しているといった人が握ったおにぎりをおいしそうにおいしそうに食べていく。
一つのおにぎりが半分なくなったころ、ナルトは床に倒れ伏し、大量の血を吐きながら、意識を手放した。


カカシ・・・あんたに殺されるなら、俺はそれでいいってばよ。
カカシ・・・あんたが俺を嫌いでも、俺はそれでいいってばよ。
カカシ・・・あんたは俺を憎んでも、俺はそれでいいってばよ。
だって、俺ってば愛しちゃってんだもん。
どうかどうか、俺を殺して。

[ 12/81 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



トップへ


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -