B short | ナノ




「なまえ殿! 起きてくだされ!」


安眠中に馬鹿でかい声でうっすらと目を開ける。
ふざけないで、こちとら眠いの。
なんで起こすのよ……。



「きょーは……にちよう……」
「休みの日とはいえ、ダラダラ過ごすのは感心しませぬぞ!」
「あーう、うるさい……」

「起きてくださるのならば、大声は出しませぬ」
「おきる、おきるから……だま、って」



真にでございますね!! なんて喜んだ声が聞こえたけど、まぁいいか。
眠い。

久しぶりにゆっくりたくさん寝られるんだから、寝ておかないと。


……………。

「すーっ……」
「なまえ殿!!」
「のわっ!?」
「起きると申されたではありませぬか!」


耳元で叫ばれてまた現実の世界へ引き戻される。

「みみ、いたい……」


腕を引っ張られて、強制的に起き上がらさせられる。

なんで邪魔すんのよ……。


「なまえ殿が起きないからでござる!!」


わーわーと耳元で騒がないで……。
あんたも社会人でしょ。
子供っぽいところいい加減直した方が良いよ。

 
なんて、思っても思考は半分夢の世界の私は口にはしない。 



重力に任せて布団に倒れこむと柔らかくそして、温かく布団は身体を包み込んでくれる。
あー気持ちい……。
 

「二度寝など許しませんぞ!」


大声が聞こえたと思うと、重みがなくなった。
外気に触れ、少しだけ肌寒く思えた。 


「かえして」
「なりませぬ! 布団を返せばまた眠りにつかれるのは分かっておるでござる!」
「あーもー」


 
返して欲しいけど、別になくても寝られるから良いや。



「なまえ殿! どうすれば起きてくださるのでござるか!!」
「んー……ちゅーして発音よくグッドモーニングっていえたら、おきる」
「なっ!? そ、そのようなこと……!」


「なら、おきない」


幸村にとっての超無理難題を言ったけど、別に悪くないよね。
安眠を邪魔する幸村が悪い。

これで寝られると安心すればベッドが沈んだ。




「ん……?」
 
唇に熱を感じた。

目を開けると、真っ赤な顔の幸村がドアップで映っていた。


 
「ぐ、ぐっどもーにんぐ……」


唇が離れて、発音の悪い英語のおはようが聞こえた。
 
幸村は赤い顔を隠すようにそのまま私の隣にうつぶせに倒れた。


「目は覚めたましたか……?」
「うん」

「では、構ってくだされ……」


抱き付いてきた幸村の頭を一撫でして、起き上がった。



構ってあげるよ
(はじめからそう言えば身体に鞭打ってでもすぐに起きたのに)
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