「なにこれ」 小指を見れば、赤い糸がリボン結びされてる。 なんで? 誰かのいたずらかと思って外そうとしたのに、びくともしない。 たかがリボン結びなのに……? 「意味わかんない」 多分もう一つの糸の端にこれをやった犯人がいるんだろうな。 誰よ、こんないたずらしたのは。 「今日は日曜だし……」 犯人探しよう!! ということで、ご飯を食べて支度して家を出た。 「つーか、なんで家の外まで糸が続いてんの」 よくそこまで糸があったよほんと。 私の部屋に入ってきて糸巻きつけたぐらいなんだから、私の知り合いだよね。 知らない人が入ってきたら不法侵入だよ。 まぁ、知ってる人でも軽く犯罪っぽいけど。 糸を手繰り寄せながら歩いていると、まさかの糸は駅に続いていた。 「うそ……」 こんなのどうやって繋がってんの!? 電車に糸があったら、危ないんじゃないの!? ってか、この糸って私以外の人には見えてないのかな。 まぁ、見えてたらすぐに撤去されるよね。 なんて思いながら券売機に寄る。 ここまで来たら余計に気になって帰れないっての。 あれ? つーか、どこまでの切符買えばいいわけ? どうすんのこれ。 どこに続いてるかわかんないから買えないじゃん。 そう思って券売機を眺めると、赤い糸が一つのボタンに向かって矢印が作られていた。 なにこれ、ちょうどここを押せって感じのは。 ここまで行けばいいんだよね。 ボタンを押して改札を通って電車に乗った。 うーん、どこまで続くんだろこれは。 目的地まで着いて電車を下りて、歩き出す。 「ここどこ……?」 全然わかんないんだけど。 辿り着いても帰れるんだよね? 帰れないとかほんと勘弁なんだけど。 「あ、あの……」 「へ?」 声をかけられて上を向くと、まさかの人が居た。 なんでここに? え、もしかしてこの町の住人……? 「真田くん……?」 「やはり、みょうじ殿でありましたな」 にこりと笑った真田君におもわず顔が赤くなった。 今日の運勢絶対一位だ。 「どうしてこの町に? みょうじ殿は隣町に住んでおられるのでは?」 「えっと、ちょっと所要で……真田くんこそどうしたの?」 「某は佐助に頼まれて買い物に行っておったでござる」 「それで、そんなたくさんの荷物を……あ」 「ん? どうなされた?」 おつかいなんてえらいねと思って袋に目を移すと、あったんだ。 探してたものが、そこに。 最後の一回、その糸を手繰り寄せると、ピンと糸が張った。 「む? 今、小指に違和感が……」 小指の赤い糸が見えてない真田君はただ違和感を感じただけらしい。 うそ、これって……。 いたずらじゃないの? そうだよね? だって、真田君と私は学校で何回か話したことあるだけだし。 ただ、私が一方的に恋してるだけなのに。 そんな真田君が私の家なんか知ってるわけない。 じゃぁこれは本物で……私、真田君と……。 「なまえ殿!? いかがなされた!?」 「ひっく、うえぇぇ……」 嬉しすぎて涙が出てくる。 どうしよう、こんな結果になるなんて。 私って、世界で一番幸せだよ。 好きな人が運命の人なんて……。 「みょうじ殿!? どこか気分が悪いのか!?」 「ふっ……っく、好き……」 「へっ!? 今なんと……!?」 「ひっく、真田君が、好き……です」 涙を拭きながら、真田君を見据えて言うと、真田君の目が見開かれた。 「あ、あのっ……そ、某も、みょうじ殿が好きでござる……」 ああどうしよう。 もう死んでもいいかもしれない。 君と私を繋ぐもの (本当に運命の赤い糸なんてあったんだ) [戻る] ×
|