「幸村? いつまで拗ねてんの?」 『拗ねておらぬ!』 拗ねてんじゃん。部屋の端っこで丸まってるとか古典的すぎるでしょ。 一体なにに拗ねてんの。 「ねーはやく寝よ」 『なまえ殿一人で寝ればよかろう』 「明日までエアコン直らないから、幸村がいなかったら寝れないんだってば」 だからおいでよ。なんて言っても無視をする。 はぁ、どうしたら来てくれるんだろ。 拗ねてる理由がわかんないからどう対処して良いかわかんないし。 「あーあ、拗ねて女の子の言うこと無視するなんて男としてどうなんだろ?」 『う……』 「あの、おじい……じゃなくて、お館様が聞いたらどう思うだろうね?」 『……なんでござるか、なまえ殿』 「あは、おいで」 立ち上がった幸村を手招きして、私の隣に寝るように指示した。 顔を赤くして否定したけど、お館様の名前を出すと観念したのか私の隣に寝た。 「ね、なんで拗ねてたの?」 『拗ねてはおらぬ!!』 あー、なにがあっても拗ねてるって認めないんだ。 じゃあ、言い方変えないと話進まないよねこれ。 「なんで不機嫌だったの?」 『う、それは……』 「私、何かした?」 そういえば、今日は硬直してない幸村が顔を私の方に向けた。 わ、顔近い……。 普段だったら、破廉恥ーなんて言って離れるけど、今の幸村は気にしてないようで。 気付かないほど怒ってんのかな。 『……なまえ殿は政宗殿や慶次殿、佐助と一緒に祭りに行かれるのか』 「え、行って欲しくない?」 『……べ、別に、訊いただけでござる』 「幸村が行って欲しくないんだったら、行かないけど」 絶対行きたいってわけじゃないし。 誘われたからどうしようかなって思っただけだし。 『なまえは行きたくないのでござるか……?』 「わかんない。行ったら幸村は何も出来ないしつまんないでしょ。行かなかったら幸村と一緒に花火見れないから嫌だなーって思っただけ」 『そ、某のことを考えて悩まれていたのか……!?』 「んーまあ、そういうことかな?」 よくよく考えたらそうじゃん。 自分のことじゃなくて、他の人のこと考えて悩むなんて、私超いい人じゃん。 人間のかがみだねー。 『……某、なまえ殿はあの三人のうちの誰かが気に入ったのかと思ったでござる』 「みんな格好良いけど、気に入るとかそんなのはないかな」 『良かったでござる……』 「なんで?」 『あの三人になまえ殿を盗られるかと思い、焦ってしまった……』 だから、安心した……。 なんて言って、私にくっ付いてきた。 いつもなら恥ずかしがってしない行動。 よっぽど焦ってたんだろうな。 「あは、大丈夫だよ。お気に入りは幸村だけだから」 『っ!? ……そ、某もなまえ殿を気に入っておる!!』 「ん、ありがと」 あーやばいなんか、すごい胸が締め付けられてる。 きゅんきゅんする。 幸村が今日可愛すぎなんだけど。 それに、また幻覚で犬耳と尻尾が見える気がするし。 うん。なんか疲れてんのかな。 「……幸村、可愛い」 『なっ!? お、男であるのに可愛いなど、嬉しくないでござる!』 「だって、私にくっ付いて小さい子供みたい」 『ななななっ!?』 あ、やば。そんなこと言ったら叫んじゃうかもしれないし、もう一緒に寝てくれないかも。 もしかしたら半径一メートル以内に近づいてもらえないかもしれない。 『……なまえ殿のほうが可愛らしいでござる』 「え?」 「っ……も、もう言わぬ……!」 ぷいっと反対方向を向いてしまった。 今回は反対向いてくれてよかったかもしんない。 ……今私の顔熱いし。絶対赤くなってる。 それより、なんかもう幸村って可愛すぎ。 なんて嬉しいこと言ってくれんの。 心臓かなり暴れてるんだけど。 こんなに暴れてたら、心臓爆発しちゃうって。 どうしてくれんの。 まだ、死になくないのに。 なんて思っていても、頬が内側から押し上げられる。 「祭り、一緒に行こうね」 『……うむ』 決まったから、三人にちゃんとメールしないとね。 (幸村と行くからいけません) [戻る] ×
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