イルミside なまえと最後に会ってからもう二週間が経った。 携帯を確認する。 連絡は一つもない。 なんなの。 何もなくても電話しろって言ったのに。 なまえもさみしくなったら電話するって言ったよね。 なに、寂しくないわけ。 オレのオーラをあのぬいぐるみに込めたのはまずかったかな。 あれがあるからさみしくないとか言ってそう。 ぬいぐるみとオレとじゃ、オレをとるんじゃないの、普通。 なんでぬいぐるみで満足するのさ。 「はあ」 「どうしたんだい、イルミ?」 「うるさい」 「もう、心配してるのにー……って、どこ行くんだい◇」 「もうオレ降りるから」 キルたちも入口見つけたみたいだし。 ちらりと先程までキルがいてたところを見る。 適当にいくつかの入口の中から一つ選ぶ。 「一緒の道だったらいいのにね◆」 「ごめんだね」 そう吐き捨てて下に降りる。 暗い一室に降り立って、携帯をしまう。 何秒か待ってみたけど他の人間が降りてくる気配はない。 よかった、ヒソカとは離れたか。 もう一度ため息をつく。 「なまえから連絡来ないと、話できないし」 なまえはオレの番号知ってるけどオレはなまえの番号知らないし。 どれだけ携帯を見てもかかってくる様子はない。 「ちっ」 「わははははは! ここであったが百年目! 下までたどり着きたくば俺を倒していけえ!」 「今、機嫌悪いんだよね」 「くごおおおお、あああ……」 胃の辺りがムカムカする。 なんで電話かけてこないの、なまえ。 オレのこと心配じゃないの。 「お前を倒してこんなとこから出て行ってやるー!」 向かってきた囚人の首を締めて持ち上げる。 「ぐううっ……!」 そこで、この前の情景が浮かんできた。 オレ、なまえの首締めた。 「ぐあっ……」 静かになった囚人の首を離す。 そのままその掌に目をやる。 「……この手で、なまえを」 あの時なまえが叫んでいなかったら、この下に転がってる男のように……。 手が震える。 なまえが死ぬ。 俺の手で。 「殺したく、ない」 なまえを殺したくない。 傷つけたくない。 いやだ、いやだ。 なまえ。 会いたい。 声が聞きたい。 早く、早く。 もう二度と傷つけないから、絶対に首なんか締めないから。 絶対に嫌な思いや怖がらせたりなんかしないから。 お願い。 お願いなまえ。 なんでもするから、 (嫌いに、ならないで) [戻る] ×
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