「なーなーなまえージャンプといちご牛乳取ってくれー」 「それくらい自分でしなよ」 「そーかそ−か。そういえば五歳の頃カエルを服の中に入れられてお前漏ら……」 「ぎゃーっ!! ちょ、神楽ちゃんや新八君には言わないで!!」 「ジャンプといちご牛乳」 「うっ……渡せば良いんでしょ、渡せば」 また昔のこと掘り下げて……。 ホントありえない。 私の昔話なんて恥ずかしいものしかないんだけど。 それを弱みに何回こき使われたか……。 結局、言われたとおりコップにいちご牛乳を淹れて、ジャンプを取って渡した。 暢気にソファーに寝転がってる銀時に向かって持ってるジャンプといちご牛乳を叩きつけてやろうかと思ったけどやめた。 変な昔話をばらされたら敵わないし。 「はい」 「お、サンキュー。愛してるぜなまえ」 「なっ!?」 顔、りんごになってんぞー。なんてからかいながらジャンプに目を通しはじめた銀時。 私がこの言葉を言えば許すって知ってこうやって使うんだから堪ったもんじゃない。 ま、それで許す私も私だけど。 惚れてる人に愛してるなんて冗談で言われたとしても嬉しい。 こんなドSでほぼ無職でだらしないやつに惚れるなんてホントに私、どうかしてる。 「はぁ……」 銀時の隣に座ると溜息が出た。 嫌いだったはずなのに。 天人からいつも私を護ってくれている銀時を見て心が惹かれはじめたんだ。 ま、護ってくた理由はいじめる相手がいないとつまらないなんて喜べない理由だけど。 「なに溜息ついてんだ?」 「え……いや、別に」 ジャンプ読んでる時はいつも周りのことなんかこれっぽっちも興味を示さないのに、今日はどうしたんだろ? 「おーい。銀さんが聞いてるでしょーが? 答えろって」 「……ただ、銀時のお嫁さんは大変だろうなって思っただけ」 嘘だけど。 心で思ってること言っちゃったら爆笑される。 「このジェントルメン銀さんのお嫁さんが大変? なに言ってんだチミは」 「……あっそ」 つっこむのも面倒くさい。 それよりも銀時のキメ顔に胸が高鳴るなんて、最悪。 「なまえ、分かってねーだろ。俺のよさを」 「はいはい、分かりませんよ」 遠い目をしながら答えた。 私が思う銀時のよさは、自分でも理解できないところだし。 あーもう。私って趣味悪いよ。 「なら、分かってみるか?」 「は?」 「お嫁さんになってみて分かってみるかって聞いてんだけど。人の話は一回で聞こうね」 「そそそそれって……」 「お、鈍感なお前でも分かった?」 ぷぷぷプロポーズ!? え、まさかの!? 私に!? 「ほ、本気で言ってるの……?」 「うそだって」 「え!?」 「ほんとだって」 「どっち!?」 ケラケラ笑ってる銀時。 コイツ、楽しんでる……! こっちは、泣きそうになってるのに……! 「ま、なまえが嫁にもらって欲しそうな顔してるし、もらってやろうか?」 「……ほんと?」 「んーキスしてくれたらもらってやるよ」 にやにやと笑う銀時の頬に手を添えて唇を重ねた。 キスをした後、なぜだか涙が溢れた。 「うぅ……」 「よっぽどもらって欲しいんだな」 「っ……だってぇ……ひっく」 「泣くなって。つーか久しぶりだな、なまえが泣くとこ見るのって」 「うっ……っく……ふぅ……」 いつもみたいに髪の毛を乱すようにじゃなく、毛並みにそって撫でられた。 こんな優しく撫でられるなんて何年ぶりだろ。 普段しないことをこうやってされるともう、心臓がもたない。 「はっ、なんか懐かしいな」 「な、にが……?」 「こーやって、お前を泣かすの」 「……あの時は、毎日泣かされてた」 「そーだったか?」 しらばっくれて……。 私の恥ずかしいことは鮮明に憶えてるんだから、泣いてることだって絶対憶えてる。 「ま、これから毎日嫌って言う程なかしてやるよ」 「え!?また泣かされるの!?」 涙も止まって慌てて言えば、銀時がなんか悪巧みしてそうな顔をしてた。 「なに、その顔」 「さぁ〜? どうしたんだろうなぁ?」 「怪しすぎ」 「お前はこれから、なかされるんだよなぁ〜」 なに笑ってんのコイツ。 意味わかんない。 ……まぁ、ろくでもないことってのは理解できるけど。 「ま、いろいろ覚悟しといたほうがいいな」 「うん? まぁ覚悟はする」 「……鈍感すぎるだろお前」 まぁ、そっちの方が燃えるけどなーなんて笑ってる銀時。 これから一生いじめられるんだ。 まぁ、そんな銀時が好きなんだから、しょうがないよ。 それより、銀時がさっきからにやにや笑ってるのが気になって仕方ないんだけど。 いじめられるのは (それほど愛されてるっていう証でしょ?) [戻る] ×
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