Drown

どうしてボクたちはこうもうまくいかないんだろうね。こうやって戦って、戦って、戦って。どうしようもないまま戦って。意味もない争いをこのまま続けていくんだね。
ボクはそんなこと望んじゃいないんだけどさ。キミが止めないと言うのならボクも止めない。止められない。
ボクは死にたくない。キミも死にたくない。ボクは殺したくない。キミを殺したくなんてない。それでも続けなくちゃならない。それがキミの望むことらしいから。
ボクは悪くない。でもキミも悪くない。誰も悪くない。悪くなんかない。じゃあ一体何が悪いんだ!

気がつけば限界。こちらも限界。あちらも限界。使い果たした魔力、体力、気力。戦いの最中にもかかわらず。
そして何故かここは湖の中。もうまともに息もできないくらいに体は疲れ切っていた。数多くの切り傷、擦り傷の痛みが感じられないくらいには。目の前の彼もそんな感じでがばがばと足掻いている。闇の剣だって、こんなところじゃ重いだけ。
ふと思いついたことがある。もし彼の傷を、ボクがつけた傷跡に口づけたとしたら、彼の気持ちが安らぐんじゃないかって。そんなはずなんてない。頭の中では分かっていても何故かそう感じてしまう。それこそ傷の舐め合いだ、なんてね。なんで、なんでそう思うんだろう、ボク。

そっと彼の腕を引っ張る。彼は引っ込めようとする。だけど結局無駄な抵抗はやめようと思ったのか、そのうち力は弱くなっていく。もう酸欠でガンガンと音がなっている気がする。でも、そんなこと知らない。知らないうちに死にたい。もういいや、もういいよ、このまま彼と一緒に溺れてしまおう。それでいいんだ。

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