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「いざ!!」 そういって八百鼡が槍で八戒を吹き飛ばすと扉が破壊された。 「あーあ…修理しないとじゃんかぁ」 私はそう呟くと窓から様子をうかがう。 ふと、見ると近くに爆弾。 私はそれを引き抜くと窓の外に投げ捨てた。 「真奈美さんはどっちの味方ですか?!」 そう叫ばれて見れば丁度爆弾が投げられた時に投げ込んだらしく思わず苦笑いを浮かべる。 「すみませんでしたぁ。じゃあ私も闘いまーす」 「酔っぱらうと皆さんたちが悪いですね!」 「あーブレスレット邪魔…三蔵、預けとく」 私は三蔵の腕にブレスレットを嵌めると扉のなくなったドアから外に出た。 すると丁度八百鼡が爆弾のスイッチを押したところだった。
「八戒のと私のと…2つしかだったの? …なんかすみませんでしたぁ」 何に対しての謝罪かはわからないががくりと肩を落とす彼女に謝る。 八戒もそんな彼女に手を差し伸べるが振り払われた。
「もはやこの命など必要ない…!!」 そう言って彼女は短刀を取り出し死のうとした。 私は持っていた開けたばかりの焼酎の瓶を投げ捨て走りだし、黒蛇となって彼女の首に緩く巻き付いた。 と、突如風が起こり気付くと目の前にはあの紅孩児の顔がアップになっていた。 これには私も酔いが覚める。 うわぁ漫画以上に威厳がありそうな顔してんな…そう考えていると八百鼡が名前を呼び皆が反応する。 てか…私どうすればいいんだろうか? そう考えていると紅孩児も私に気づいたらしく目があった。 これはまずい、そう考えて八百鼡の首から離れようとするがその前に紅孩児に捕獲された。 一度戻るか…そう考えていると私に気付いていない悟空が攻撃をしてきた。 と、紅孩児が技を繰り出し悟空が吹き飛ぶ。 「悟空!!」 私は元に戻り紅孩児の手から逃れようとするが首を持つ手は全く取れず、もがいていると悟浄の鎌が紅孩児の指で軽く止められた。 「子供だましだな」 そう紅孩児は冷たくいい放つと再び技を繰り出した。 猪八戒はそれを防御壁で受け止めようとするが弱く、技を直に受けそうになり私は咄嗟に 「"防御壁"!!」 そう叫んで八戒を守った。
「そこまでだ」 三蔵が紅孩児の後ろにいつの間にか居て銃を向けている。 何処から登って来たのだろうと思ったが考えるのをやめ二人の様子を伺う。 そういえば三蔵にブレスレット預けたんだった。 袖からちらりと見えた荷物の入ったブレスレットを凝視する。 あれが三蔵のところにあれば帰ってこれるかもしれない… ただ物凄いリスクの高い事ではあるが…
「とりあえずそいつを返して貰おうか」 そう三蔵が言うが紅孩児は一向に放そうとはしない。 「一応こいつが必要なんだ。拉致させて貰う」 そう言うと三蔵に技を繰り出そうとするので私は紅孩児につかみかかり 「連れてくなら早くすれば?こっちも時間がないから連れてかないなら放してちょうだい」 小声でそう言った。 そう言うと紅孩児は八百鼡と私をつかむ。 私は三蔵を振り返り 「ブレスレットをよろしく」 笑顔でそう言うと三蔵達の視界から消えた。
「…クソッ」 先程の笑顔を思い出すと拳を握る。 アイツは俺を助けるためにわざと捕まったのがすぐに分かった。 『ブレスレットをよろしく』 そういわれて気付いた真奈美のブレスレットを眺める。 様々な色をした宝石でできたブレスレットは意外と重みがあるが外そうとは思わない。 まだ一月程しか旅をしていない相手が居ないだけでこんなにも寂しくなるものだろうか…
「…絶対アイツを取り戻す。」 そう心に誓った。
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