4対4の飲み比べが始まろうとしていた。
私はそれに近付くと
「ねぇ、悟空って子供じゃないの?」
そう三蔵に尋ねると
「俺は19だ!!」
そう抗議の声が上がった。
「お嬢ちゃんは参加しないんかい?」
先程のオッサンが言ってきたので
「なら悟空が潰れたらチェンジで入るわ」
そう笑顔で言う。
すると悟浄が
「真奈美ちゃん飲めるン?」
そう耳打ちしてきた。
私は普通ではない生活を送っていたためこの年でもう酒に対しての免疫が出来ていた。
まぁ、あちらのセカイだと20歳にならないと法律的にダメだったのが…
「一応焼酎20瓶程度なら」
そう苦笑気味の声で言うと口笛を吹かれた。

「始め!!」
店長の声と共に戦いの火蓋が落とされた。
数十分後
悟空はやはり潰れ、チェンジとして入る。
「真奈美さん飲めますねぇ」
「いやいや八戒の方が飲んでいるじゃないですか。あ、追加お願いしまーす」
未だに酔った様には見えない八戒にこういう人がウワバミと言うのかと感心する。
「お嬢ちゃんペース早くねぇかい?」
そう言われて首を傾げる。
「焼酎8本目ですしまだまだいけますよ?」
「真奈美さんまだ飲み始めて数分じゃないですか。流石にペースが早いですよ」
そう八戒に咎められる。
私は渋々ペースを落とすと、八戒が八百鼡に
「心配ないですよ。多分僕勝ちますんで」
「え?」
「セクハラおじさんは許せませんもんね」
と言っているのが聞こえた。
そろそろかな…私は"薬は効かない"そう心で唱えておく。
そしてもう一杯と焼酎を煽った。
隣をちらりと見ると三蔵はいつも以上に目が据わっていた。
「ダメだ…完全に出来上がってる」
そう呟いた直後に
「魔戒天…」
三蔵が必殺技を出そうとして思わず八戒と止める。
しかしそれにあちらも応戦しようとして再び喧嘩が始まろうとした。
が、
「何だこの霧は…!!」
先程唱えておいてよかったとまだ焼酎を飲み続ける。
「この霧…吸っちゃ駄目です!!」
そう八戒が言うが時すでに遅く私と八戒、そして八百鼡しか起きていなかった。
私は焼酎を手に持ちながら立ち上がる。
「今のはただの睡眠薬です
一般人を巻き込む訳にはいきませんから」
「あ…貴女がこれを━?」
「薬 かがなかったんですね…貴女も」
私にも目線が向いた。
「んー?効かないようにしてたからね」
焼酎を煽りながらヘラヘラとそう言うと顔をしかめられた。
多分…今の私は完璧酔っている。
だからこんなにヘラヘラしているんだな、と自己分析する。

八百鼡は妖力制御装置を外すと八戒を攻撃する。
不意の出来事に八戒は反応が遅れ頬を切っていた。
「貴女も『紅孩児』の刺客ですか」
私はその様子を18本目の焼酎を開けながらヘラヘラと楽しそうに眺めていた。

▼飲み比べ

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