旬麗の銀髪という言葉に沙悟浄は違うと確信し
「ああ 今日はヤメとこお」
そう今にも戦いだしそうな悟空に言った。
「今はあんまりヒトゴロシしたくない気分なの 俺
だから大人しく帰ってクソして寝ろや OK?」
「なッ…」
「さ 行こか」
私はそんな彼の近くにいって
「珍しいですね」
なんてはにかんだような笑顔で言った。
後ろから妖怪達の抗議の声が聞こえるが無視をする。
しかし
「俺 昔聞いたことがあるぜ
人間と妖怪の間にできた禁忌の子供は深紅の瞳と髪を持って生まれるってな」
「何だ じゃあアイツ
出来そこないじゃねェかッ」
「アソコの毛も赤いのかよ
ええ?出来そこない」
その言葉に私は首だけそちらに向けた。


バッと振り向くと3人が妖怪達につかみかかっていた。
そしてそんな妖怪達の回りには無数の刀。
思わず隣を見ると髪の毛を刀に変えて操っているらしく髪の毛が銀色懸かった色をしている。
「ホラ 『口は災いの元』ってよく言いますよねぇ?続きが言いたきゃあの世でどうぞ」
「禁忌の子?何それ」
バカにしたような声が隣から聞こえてそちらを見る。
「言っときますが3人には劣るけど悟浄はイイ男よ?それに…」
そういうと俺の髪を一束持つとそれにキスをした。
「赤なんて良いじゃない。生きる為に必要な色よ?」
思わず目を見開いた。ンなこと初めて言われた。
すでに髪の毛は黒に戻っておりいつも通りの真奈美ちゃんを見る。
「本当イイ女…」
そう笑って言えば見上げてきてフッと笑われた。

『本当イイ女…』
聞こえた悟浄の声はなんとも言いがたい苦笑気味の声で、思わず笑ってしまった。
本当綺麗な赤だと思う。
恐らくどんなに染めてもこれほど綺麗な赤にはならない。
寧ろ羨ましく思う。
と、妖怪達が襲い掛かってきた。
「何 そんなに興味あんの?
アソコの毛の色
ま 確かめられンのは『イイ女』だけだけどな」
その言葉に私は『こういう所さえなければな…』なんて心のなかで思っていた。


目を覚ますと自分の家のベッドに寝ていた。
たしか森で…そう考えていると半おばさんが部屋に入ってきた。
どうやらもう旅立ってしまったらしい。
そして伝言を聞き涙を流したがそれをぬぐった。
「…旬麗?」
半おばさんは不思議そうに呼び掛けてきて私は
「言われたんです悟浄さんに
『イイ女は泣くな』って」
そう笑顔を作って言った。
「そうかい」
穏やかな声で返事をした半おばさんはふと思い出したような顔をしてポケットから包みを出した。
「これは?」
「真奈美さんが旬麗に渡してってきかなくてね」
包みを開けると銀細工のネックレスと赤い髪止めが入っていた。
「これ…」
包みの中には文字があり
『きっと茲燕さんは戻ってくるから』
ただ一言そう書いてあった。


「ふーん
じゃあ今回は悟浄の兄貴とは別人だったんだ」
悟空のその言葉に耳を傾けつつ三蔵の膝の上でうつらうつらしていた。
「真奈美さん眠いんですか?」
そう八戒に言われて
「一睡もしてないんです」
そういうと兎の私にハリセンがふってきた。
「…ッ!!!〜〜ッ!!」
いつもより痛いハリセンに思わず元の姿に戻ってしまった。
「重い」
一言そう言われて涙目で睨んでいると
「…しっかしアレだな
フリーのイイ女はなかなかいねェよ」
その言葉が聞こえてそちらに目線を移すと
「あ、目の前にいたわ」
にやりとされて身を乗り出してきた。
「どう?俺と付き合わない?」
「ロリコンにでもなるつもり?」
そう笑顔で言うと
「え、僕てっきり真奈美さんのこと22くらいかと思ってました」
「俺もそんくらいだと思ってたわ」
そう言われてムスリとする。
私、そんなにフケてる?
「私…まだ15ですけど」
そうポツリと言えば皆一瞬固まった。

「え、まじ?」
悟浄のそのひきつったような声が聞こえたと同時に
「ああッ昨日のトランプ!」
悟空の叫び声が聞こえてまた喧嘩が始まった。
と、車体が再び傾き川に転落した。
今回は三蔵に逃げられないよう持たれていたため一緒に落ちた。
「金輪際トランプゲームはいけませんッ!」
そう私は叫んだのだった。

▼イイ女

| top |

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -