森につくととりあえず近くにあった木を金に変える。
これなら私がいるのもわかるだろう。
森の中では旬麗の声が聞こえる。
ガサりと音を立ててしまい
「…茲燕?…」
と声をかけられたが、私が出てくると少しがっかりしたような顔をされた。
「旬麗さん。もし茲燕さんじゃなかったら危ないです。とりあえず森から出ましょう」
そう言うが首を横に振って"茲燕"と呼び続ける。
「しょうがないか…」
私は説得を諦めると旬麗が危なくないように辺りに注意を払い警戒する。
すると幽かにジープのエンジン音が聞こえた。

「あ、あれは…」
森の入り口に金の木を見つけた。
あんなことができる人は一人しかいない。
「つーことは真奈美はついてったんだな」
悟空はそう言うと辺りをキョロキョロと見渡した。
「これ以上は車じゃ進めませんね」
「思ったより深いなこの森は…」
そう言うと三蔵と悟空、八戒と悟浄に別れて森の中を探す。


過去のことを思い出していると
「すみませんでした」
そう八戒が言ってきた。
「あ?」
「お兄さんのこと真奈美以外の皆に話してしまって」
別に隠していたわけでもないから攻めることなく返事をした。
真奈美ちゃんは聞いてないんか…
この場にはいない彼女を思い出す。
綺麗な黒髪と透き通るような白い肌。
少し余所余所しさを感じる時はあるがイイ女だ。
恐らく他の奴等も好意を抱いているだろーな…
それにしても秘密な…
「そういやぁさ真奈美ちゃんの…」
と、言いかけた途端
「きゃああああ!!」
旬麗の叫び声が聞こえて走り出した。


「手こずらせやがって
もう逃げられねェだろ?」
「昨日の今日でこんな上玉が二人も手に入るなんざ
ツイてるなァ オイ」
私は睨み付けながら旬麗を守るように立ち塞がる。
どうするかな…流石に一般人に死体を見せるわけにはそう考えていると私も旬麗も妖怪に掴まれた。
「嫌…ッ」
「旬麗さんに触らないで!!」
と、
「旬麗ッ…!」
悟空と悟浄が両側からやって来て
「「お?」」
同時に蹴って倒れた。
私は旬麗が見ていない隙に妖怪を殴り飛ばす。
「あ、やば…」
すこし力加減を忘れて殴り飛ばしたがためにかなり遠くに飛んでいった。
やらかしたな、そう思って後ろを振り向けば皆目をぱちくりさせて私を見ていた。

▼茲燕

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