「今日も平和だなぁ」
三蔵の膝の上に兎の姿で和んでいた。
後部座席がとても騒がしいがコレもまた前のセカイとは違って平和だと思える。
前のセカイなら騒がしいなんて地獄だったな…
そう遠い目をしていると悟空が前に倒れてきて
「あッバカ危……」
ハンドルにぶつかった。
「え?!」
思わず鳥に変身してジープから離れると同時に車体が傾き川に落ちた。
「あーあ…」
元の姿に戻って川縁で観察していると4人と1匹は浮き上がってきた。
「ぷはあッ」
「だああ 冷てえッ」
そう二人は言うと再び喧嘩を始める。
ちらりとその後方を見ると俯いている三蔵が見えた。
「死ね!このまま死ね!!」
そう言って二人の頭を川に沈める。
八戒はジープの心配を未だにしている。
と、反対側の川縁でくすくすと笑う女性がいた。
彼女が旬麗だとすぐに理解した。
それと同時に
「あれ?この状況だと私どうすれば…」
と、近くに小さな橋がありそこから反対に渡った。

四人が着替えている間、私は旬麗と洗濯物を干していた。
「なんかすみませんでした」
全て干し終えた後にそう謝ると
「いえ、全然!!」
そう返されてしまい沈黙が続く。
どうしようかと考えていると四人が着替え終わりやって来たらしく扉が開いた。
そちら側に振り向くと私はポカンとしてしまった。
なんというか…普通だ。
目立つような服ではなく一般的な服の四人は三蔵一行だと言われない限り多分気づかれはしないだろう。
…ただあの容姿では一般人として目立つか。やはりいつものが良いな……
「真奈美さん…あの、なんか変ですか?」
そう八戒に言われてハッとする。
「あ、すみません…変ではないです」
じろじろ見すぎていたことに反省して思わず俯いた。
「うまそー!!これ喰っていーの!?」
悟空の嬉しそうな声に顔をあげるといつの間にかお隣さんの半おばさんが来ていて美味しそうな料理が机に運ばれる。
私は旬麗に皿の場所を尋ねると食事の用意を手伝った。


「へえじゃあアンタ達は西へ向かってるのかい。この村はいい所だよ しばらくいるといい」
「少々訳ありでな 先を急いでいる」
半おばさんと三蔵が話している中、クイクイと袖を引っ張られた。
そちらを見ると悟空が肉まんをくわえながら私を見て、それから皿にある3つの肉まんを見ていた。
私は小さくため息をつくとそれを全て差し出し、再び半おばさんの話を聞いた。

▼平和

| top |

第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -