「はー やっと生き返ったぜっ」
ドサッとベットに悟空が腰かける。
私も三蔵の近くに座りため息を漏らす。
話せないし下手に動けないしで神経的に疲れた。

「どうぞおくつろぎ下さい」
お茶を置いた少年に目を向ける。
「私は身の廻りのお世話をさせて頂く"葉"と申します。よろしくお願いします!」
音が付きそうな素敵な笑顔に私はどうでもよさげな顔をする。
「チッ 配膳ぐらいキレーな姉ちゃんにやらせろっての 悟浄がっかりー」
「そんな不浄な…!!
この寺院内は女人禁制ですよ
ーですよね三蔵様ッ」
「…何故俺にふるんだ」
3人の視線が私に集まったが、今の私は虎なのだと知らんぷりする。
「私生きて三蔵様にお会いできるとは思っておりませんでした!!感激ですッ!!三蔵様といえば御仏に選ばれし尊き御方。我々仏教徒にとって絶対的存在にございます!!」
『真奈美ちゃんに会えて感激〜!ねぇねぇ一緒に写真とって〜?あとサインも〜』
…嫌なことを思い出した。しかめ面をしていると上から
「あそ」
そう聞こえた。
その顔は声同様嫌そうでそれに葉は気付かないのだろうか?
「ではごゆっくり!
御用の際はなんでもお申しつけ下さい」
そう言って部屋を出ていった。
私は暫くの間葉の出ていった扉を睨んでいた。


「わちゃーもう腹減ってきたっ」
食事を終えてあまり経たずに悟空がそういった。
「ここの食い物って豆とか野菜ばっかなんだもんよ〜」
私はそれを聞きながら虎の姿で林檎を食べていた。
「ま 明日まで辛抱するこったな ロン」
「何なさってるんですかーッ!!」
大きな音をたてて葉が部屋に入ってきた。
いきなりのことに私は林檎を隠す。
「麻雀」
「うあ
煙草なんか吸ってはいけません三蔵様ッ」
「あー?」
葉が三蔵に叫んだときに私は威嚇のように唸ると葉はびびった。ざまぁ。
思わずしたり顔をして三蔵を見ると彼も少し口角が上がっていた。
「あああああ 缶ビールなんか持ち込んでる〜!!
没収ですッ!!」
ばっと葉が荷物を取るとドサドサと中身が溢れた。
その中身にあったアダルトな物の題名に悟浄を呆れた顔で見て、暫く悟浄には近寄らないとそう思った。


「ちっ」
「…まったく」
張り紙には『禁酒』『禁煙』等が書かれた。
「三蔵法師ともあろうお方が何故あの様な下賤な輩をお連れに…」
その言葉に三蔵が反応して僧の横に腕をついた。
私も三蔵の隣で威嚇をする。
そもそも先程の言葉に私は怒っていた。
下賤は意味に卑しい、身分の低い等の意味がある。
身分の低いの意味で言葉を使っていたら?
そう考えると腹が立つ。
あんたらは高いんかと言いたくなる。
するとそいつは三蔵に
「喉 渇いたんだけど」
そう言われると直ぐ様駆けていった。


「…ところでこの寺院は妖怪の被害にあったことはないんですか?」
八戒がそう尋ねると葉は笑顔で「もちろん」と言っていた。
漫画であったが武器はない。そしてこれから襲撃してくる妖怪を思いだし、げんなりした。

▼葉

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