「ド、ドフッ…」
「ド、ドフラ…」
「ド、ドフラミンゴ」
「ドフラミンゴ」
言えた!
「なんだ?」
「ひゃあっ!!ドドドドフ、ドフラミ…ドフラミンゴさん!ノックくらいしてくださいよ!」
…またダメだ。
恋人になってから一日たった。
初めての恋人だしまだまだ慣れないけど…
本で恋人に『さん』を付けるのはいけない。なんて書いてあったからせめて名前を呼び捨てで呼べるように練習してた。
「実は、その…名前を呼べるように練習してて…」
恥ずかしくて俯く。
顔がすごく熱いからきっとタコのように赤いのだろう。
…あれ?
ふと気がついた。
…ドフラミンゴさんの反応がない。
セクハラ魔王だったドフラミンゴさんが無反応だ。
おそるおそる顔をあげると
「え…ドフラミンゴさん?」
真面目というべきか呆れているというべきか分からないがドフラミンゴさんは無表情な顔をしていた。

「バカか真奈美」
私が見ていたのが分かるとニヤニヤしながらそう毒づいてきた。私は頬を膨らませて「バカ!」そう呟いて部屋から飛び出した。


一人甲板へ向かうと周りからの好奇の目が私に刺さってくる。
クルー達から見たら私は突然ここの船にいて敵船を大破した謎の人にしか見えないのだろう。
部屋に戻ろう。
そう考えて来た道を引き返そうと後ろを向いた。
「えっ?!」
後ろから聞こえた声にちらりと後ろを見ると男が私に切りかかろうとしていた。
「っ!?」
殺意は感じられない
なのに切りかかる男の刀をよける。
「俺じゃないんだ!」
はい?
訳も分からず首を傾げると
「へ?!え、ちょ…逃げ」
体が勝手に動いて殴りかかろうとしていた。

が、
寸前の所で拳はピタリと止まった。
「フフッ…真奈美何やってんだ?」
この声は…
「ドフラミンゴさん!逃げて下さい!!体が勝手に動いてて!!」
「フッフッフッ…知ってるさ。」
先ほどのシーンを見ていたから分かるのだろう。
だがニヤニヤ笑うドフラミンゴさんは
「俺の能力だからな」
そう私に言った。
ドフラミンゴさんすごいな…………って
「酷いです!さっきの事で怒ってるなら本当にごめんなさい!」
私はとりあえず謝る。
謝ることなんてトリップ先でしかなかったな…
みんな元気だろうか?
「聞いてたか?」
「ごめんなさい」
思い出に浸っていたらいつの間にか話が進んでいたようだ。
「名前を呼んだら許してやるって言ったんだ」
ニヤニヤしてその提案を言うから多分からかってる。
いや…からかってる!
でも私はその提案を受け入れた。


「ドフ、ドフッ…ドフラッ、ミ…ドフラミ、ドフラミン…ゴさんっ!ドフ…ミンゴ、ドドドフ…」
今、果たして何分たっただろうか
「まだか…?」
流石のドフラミンゴさんも呆れているようで…なんだか申し訳ない気持ちになる。
「ド、ドドフ…ドドフドフドフラ…ドフラミ…」
周りをちらりとみるとかわいそうな物を見るかのような顔をしている。

何時間がたっただろうか、未だに奮闘中の私をよそにクルーの1人が
「島が見えました」
そう叫んだ。
船に乗ってから久々の上陸に心浮かれながら、奮闘する。
「真奈美、言えなかったら上陸禁止な」
「え…ドフラミンゴさん本当ですか?」
「ああ。それにしてもいつおわんだ?」
……意地悪く笑ったドフラミンゴさんにいらっとしたが自分のまいた種だ仕方ない。
私は唇をかみしめて頑張った。


「ドフラミ…ドフラミン…ドフラミンゴ…ドフラミンゴ!言えた!」
思わずバンザイをしてドフラミンゴさんに抱きついた。
「ドフラミンゴ!ドフラミンゴ!ドフラミンゴ!ドフラミンゴ!ドフラミンゴ!」
「うるせえ」
言えた!言えました!
私はとんだりはねたりして喜んだ。
「上陸しすぞ」
「うん!」
ドフラミンゴに抱きついて船を下りた。
…これって恋人のするデートですかね?
考えて恥ずかしくなり顔を赤く染めた。


ドフラミンゴが向かった先は
「え?」
服屋だった。
服持ってるから平気なのに…
そう思ってドフラミンゴに伝えると
「変装用の服一つしかねえだろ?」
あ…そうだった
毎回同じじゃ変装の意味ないもんね
納得して店内に入った。

「可愛い!」
目がいったのは可愛らしいピンク色のチャイナ服。
「変装には向いてないぞ?」
そう言いながらもそれを店員に渡してる。
他には…
「パジャマだ…」
モフモフしたパジャマがあり思わず呟く。
「パジャマってなんだ?」
ドフラミンゴの声に驚いた。
「パジャマって無いんだっけ?」
「着たことがねえ」
「ああ…そっちですか」
パジャマを手に取り感触を確かめる
柔らかい手触りで頬擦りしたかった。
「これ一つ」
ドフラミンゴの声で我に返った。
そうだここ店だ。
ドフラミンゴは私の心中が分かったのかニヤニヤしてて恥ずかしくなり
変装用の服を選んで店から飛び出てドアに寄りかかった。
「真奈美…なにしてんだ」
「店なの忘れてた…恥ずかしい」
そう言って俯く。
「さっきの全部買ったが今着たいのあるか?」
そう言われて思いついたのはピンク色のチャイナ服。
「大丈夫だよ」
着たいけど汚したくないからまだ着ないから。
「なら次いくぞ」
そう言って私の手を引き歩き出した。
「荷物は?」そう訪ねると「船に運ぶように言った」と言っていたから私達は手ぶら。ドフラミンゴって金持ちなのかな?そう考えながら、私はドフラミンゴの規格外のデカさに合わせるため大股で歩いていた。

次に訪れた店は家具屋。
すでに歩いているときに言われてたから買いたい物は決まっていてすぐに買い物は終わった。
「欲がねえな」
そう呟くドフラミンゴに首を傾げる。
トリップ先でもいわれた言葉だった。
『金はあるから何でもねだっていいのに、それだけでいいのか?』
そう何度いわれたことだか…
「私、欲がありすぎるからこれでいいの」
そう言って笑う。
ドフラミンゴは一瞬不思議そうな顔をしたがやがてあの変な笑い声を発した。
「次はどこ行くの?」
「武器と雑貨どっちがいいか?」
武器は弾がないから買いに行かなきゃだよな…
雑貨か…何があるんだろ
「うーん…
とりあえず先に武器!弾買わなきゃだから」
そう言うと手を引かれて歩き出した。

…まあ、分かっていた。
銃があれだから弾もだろうと…でも、これはないだろ流石に
「ねえ…この量しかないの?」
指さす先には数十個の弾。
「すみません…これしかないです」
仕方ない…我慢するか
私はそれを買ってもらい店を出た。


しょんぼりしながら来た店は何とも可愛らしい店だった。
店内にはいると人形や小物入れやら女の子らしい物がたくさんあった。
「あれって…」
見つけたのは一度トリップ先のお父さんと旅行に行った時に買ってもらったのとそっくりな物。
近付いて眺めていた。
「なんだそれ」
後ろからドフラミンゴの声がして振り向く。
「万華鏡っていうの」
「欲しいか?」
どうして聞いてきたのだろう?
「寂しそうな顔してっから」
首を傾げていたら説明してくれたけど…そんな顔してたかな?
「大丈夫。持ってるから」

万華鏡だけは何としてでも持っていたかった。
トリップ先での最後のプレゼントだったから…
「真奈美?」
「あ…ごめん!ドフラミンゴ」
そう言った直後

ドガンッ
凄まじい音が聞こえ
「おい真奈美!」
ドフラミンゴの制止を振り切り走り出す。

▼初デート?

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