「ば、ばか、下手に動くな!」
「お前はそっちに集中しやがれ!あかねちゃんは絶対にそこから動くなよ!」
「え?うん!わかった!」
乱馬の一言を受け流しつつ走ると女子生徒が転んだ。
しかも運悪く良牙くんのバンダナが通過し制服のスカートが斬れる。
それを見て一瞬動きを止めた。
らんまがそれに気づき急いでこっちに向かってこようとし、隙が出来る。
良牙くんはこれを好機と思ったのか
「スキあり!!」
こちらに向かって番傘を投げた。
「さあ、どうする!傘を避けても・・・このバンダナが!四方八方から貴様を襲う!!」
良牙くんは頭からバンダナを何枚か抜き取り私達の方へと放つ。
ガ・・・
パシ
私は一旦番傘を足で受け止めるとそれを手で持って開いた。
それから転んだ女子生徒を抱き上げるこちらに来ていたらんまも引っ掴みと空へと飛び上がった。
「お、おい。」
「あのカサ確か・・・」
「もんのすごく重かった・・・」
「・・・よな・・・」
「でもさっきあっちでも持ってなかったか?」
「逃げるか、卑怯者!」
私達に向かってそう叫ぶ良牙くん。
「ちょっと待ってろ!!真奈美下ろしやがれ!」
「お前は馬鹿か!こんなところで下ろせば怪我すんじゃねぇか!」
乱馬はそんな良牙くんに答えるように叫ぶが私はらんまを怒鳴る。
しゅたしゅたっと忍者のごとく私は二人を抱えて飛び、自転車置き場の屋根へと降りた。
フワ・・・
「ふー。君、大丈夫?」
そう言って自転車置き場の屋根から離れたところに降ろす。
それからまた自転車置き場の屋根に上がるとらんまを殴る。
「お前はアホか!」
「なんだと?」
らんまに胸ぐらを掴まれてこちらも掴み返す。
「あそこでお前を置いて行ったらどうなったか?誰があかねちゃんを守んだよ!それに他にも被害が出るだろうが!」
「...わ、わりぃ。」
「ちっとは許嫁とクラスメイトの事考えやがれ!それでも格闘技やってる野郎かっ!」
そう言うとらんまは何も言えずに無言になる。
そんないたたまれない空気が流れていた時、ずごごごと音がして足場が崩れ始めた。
忘れてた!良牙くんが自転車小屋を壊すこと??
少し動揺したごらんまを担いで地上に降りた。
「お前は俺を女扱いすんな!」
「女の姿のお前が悪い!」
「乱馬、勝負の最中に、他のやつと喋るなっ!!」
良牙くんがらんまにベルトを投げてきたのだ。
もちろんらんまはそれを避けるがその回転したベルトは動くなと言ったはずのあかねに飛んでいく。
「あかね!」
咄嗟に私は走り出してあかねちゃんを抱きしめると
ザクリ
「え?」
首元が涼しくなった。
後ろを見れば黒い髪の毛が落ちていた。
あかねちゃんは怪我もなく髪の毛もある。
恐る恐る自分の頭に手をやると長くて括られた髪の毛が消えていた。
「あ、真奈美。わりぃ。」
その悪びれることもないらんまの声にうっすらと笑みを浮かべると抱きしめられていたあかねちゃんと、あかねちゃんの後ろ側にいた周囲の人が青い顔をしだす。
「え、えと...真奈美...?」
あかねちゃんの震える声にようやく気付いたらんまは良牙くんと、ともにこちらにやってくる。
「男なんだから髪の毛の一つや二つ。」
「そーそー。良牙の言うとおり...」
そういう二人に振り向くと地面にめり込むほどの威力で殴った。頭だけを残して地面に埋まった二人の頬を殴って
「男なんだから髪の毛の一つや二つ?おい...」
そう言うと意識を取り戻した二人は青い顔をする。
それかららんまの頭を踏みつけて遠くを見ながら二人に話しかける。
「お前らはさ、今日何をしていた?」
「け、決闘...です。」
良牙くんの言葉に同意する。
「なら決闘は周りの人が怪我したりする状況を作るものなのか?」
「「違います...」」
「だよな?そーだよな?じゃあお前等は何やったか?」
そういうと二人は大きな声で謝る。
「謝れば許されると思ってんじゃねぇよこの人間のクズ。」
そういうと私はその場を後にしたのだった。

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