―1週間後
やっと良牙くんが辿り着いたとのことで乱馬とあかねちゃんと私は風林館高校に向かった。
「乱馬、よく逃げ出さずに来たな。」
「待て、良牙。俺は戦いに来たんじゃない。」
「これを受け取れ!」
乱馬は良牙くんにカレーパンを投げた。
しばらく良牙くんはそれを見つめていたが
「…。何だこれは。」
とつぶやき乱馬をぎろっと睨んだ。
「どうだ、それで水を流さんか。」
「ふっ、ふざけるな!」
「ちっ、欲張りな奴…。ほらっ、ヤキソバパン。」
乱馬はヤキソバパンを投げたかと思うとコロッケパン、メロンパン、カツサンド、ミートパン、ワカメパンを次々に良牙くんへと投げた。
「どうだっ、思い出せるだけ全部だっ。」
乱馬は投げ終わるとそう言った。
「なっ…なに考えてるんだ、きさまーっ!!」
良牙は少し呆れながら叫んだ。
「…パンの恨みじゃないのか?」
「誰がパン食い競争の話をしとるっ!!」
良牙は背負っていた荷物を置きながらそう叫んだ。
「しかも全部、賞味期限がすぎているじゃないか。」
「だって一週間も待たせるんだもん。」
乱馬はそう悪びれずに言う。
その姿に思わず私は呆れていると
「問答無用!行くぞ!」
「ちょっ…」
良牙の番傘攻撃を避け飛び上がり良牙に質問をする。
「ちょっと待て!わけを話せ、わけを!!」
「おれはきさまのせいで…地獄を見たんだ!」
容赦なく乱馬に攻撃をしかける良牙くんだがすぐに見切られ避けられる。
「どおーもわからんなー。」
「あんな説明だけだと分からないだろ...。」
「真奈美もそう思う?」
そうあかねちゃんと二人で話していた。
「話したところで・・・おれの苦しみがきさまにわかるものか!」
…でも豚の姿の良牙くんって可愛いよな。
なんて考えて少し口角をあげてしまい、慌てて顔を引き締める。
良牙くんは番傘を開き乱馬へと投げつけ、乱馬はそれを避けて隙ができてしまった。
そのすきに良牙くんは自分のまいていたバンダナを乱馬の手首にまきつけ右手を封じた。
「これで、ちょろちょろ逃げれんな、乱馬!」
「良牙、お前・・・バンダナ何枚巻いてんだ?」
「…言いたいことはそれだけかっ!」
その時、先程良牙くんが投げた番傘があかねちゃんの方へ降ってきた。
ぎゅるるるるる
それを見ると咄嗟に足元にあった石を三つ拾ってその番傘に投げた。
すると番傘は進む方向を僅かにずらして地面へと落ちた。
どすっ
「あかねちゃん、怪我なかった?」
尋ねると大丈夫だったらしくホッとする。
と、近くにいた男子が良牙くんの番傘を持ってみたのだが
「お、重い!」
全く持ち上がっていなかった。
あかねちゃんがそれを見て
「乱馬〜っ!!接近戦はダメだよっ!良牙くんの手の届かない間合いに!」
そう叫ぶが良牙くんが攻撃を仕掛ける。
だが乱馬はそれを避けた・・・が、その拳の風圧で乱馬の頬が少し斬れ血が出た。
良牙くんはぎろっと乱馬をにらみつけた。
「・・・しゃーねえ。そろそろ本気出させてもらうか。」
私はそれを見て番傘を持ち上げると別の場所に置き直すと近くにいた男子が驚いていた。
「ふん、今更、本気になっても遅いわ!!」
良牙くんが、乱馬に殴りにかかろうとする。
だが乱馬はいとも簡単に避けフワ…と一回転したかと思うと良牙くんをよつんばいの格好にさせてその上に乗っかった。
「さー、良牙、どーしてほしい?」
その姿に私はイラっとする。
良牙くんに何してくれてるん?
「くっ、よくも俺を・・・、よつんばいに・・・・・・」
「ん?」
「させてくれたなーっ!!」
良牙くんは乱馬を上に乗せたまま空中に飛んだ。
「腕一本で飛んだ!!」
でも乱馬が形勢逆転し良牙くんに回し蹴りをお見舞いした。
そして両者はこちらに向かって飛んでくる。
良牙くんがまだ体制を直さないうちに蹴りに行こうとする乱馬だが良牙くんもそれに気づいて応戦する。
あかねちゃんを離れたところにしておいてよかった、と内心ほっとする。
私は案外近い場所に、というより番傘の隣にいた。
とてもいい勝負だ。
そして一瞬の隙をついて良牙くんに番傘を渡すと酷く驚いた表情を一瞬浮かべたが乱馬に突き出す。
「くらえっ!」
だが乱馬もほぼ同時に蹴りを放ったので相打ち。
でも乱馬の服が風圧により斬れてしまった。
「あっ!!この服、気に入ってたのに!」
乱馬は自分の服をみながら地上へと降り立った。
「勝負の最中に・・・女みたいなことぬかすな!!」
その乱馬の地雷にあかねちゃんと思わず目だけで会話をする。
「俺のどこが女だ!!」
案の定乱馬は怒り良牙くんに蹴りを繰り出す。
「おっと。」
それを良牙くんは簡単に避ける。
フェンス越えた二人を追ってあかねちゃんを抱き上げると同じくフェンスを越して最短の道で追いかけていった。

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