とある山中にて―
響良牙は山道を歩いていた。
そしてその山に落ちていたクルミを握りながらこう思っていた。
「(乱馬、おれはきさまに復讐する。きさまのせいで、俺の人生は、ぐっちゃぐちゃになってしまったんだ。)」
「(…このクルミのように…きさまののど笛をぶち砕きに行くぜ。待ってろよ、乱馬!)」
そう思うと同時にクルミを割った。
一方、東京―
「だから、乱馬、あんたいったいあいつに何したの?」
「なんかしたかなー。」
あかねの問いに考え込む乱馬。
「乱馬くん、手紙届いてるわよ。響良牙くんって子から。」
「良牙から?」
乱馬はかすみから渡された手紙を開けてみる。
《果たし状》
とかかれた手紙がそこには入っていた。
「う〜〜ん。」
と、
ぽんっ
乱馬は何かを思いついたようで手を叩いた。
「やっぱり。」
「思い当たるふしあるのね。」
あかねとなびきの言葉に答えるように乱馬は語り始めた。
「確かあれは新学期まもなく…」
回想―
きんこーん
ドドドドドドドド
チャイムがなると同時に乱馬が通っていた高校の生徒達は食堂へと走っていった。
「昼メシだ〜!!」
「早くせんとパンが売り切れる!!」
そう、パンを買うために走っているのだ。
「さー、本日最後のカレーパンだよ!」
食堂のおばちゃんがていっとカレーパンを群がる男子どもに投げる。
「もらったあ!」
それを良牙が取ろうとするが乱馬が良牙の頭を踏み付けカレーパンを口にくわえて降り立った。
良牙はわなわなと震え乱馬を睨みつけた。
「きさま、名を名乗れ!」
「早乙女乱馬。」
そう言って立ち去る乱馬に良牙は一言こう言った。
「早乙女乱馬、カレーパンの恨み忘れんぞ。」
回想終了。
「あいつ、悔し涙、流してたっけ。」
乱馬は冷や汗を流し俯いた。
「昼メシんときは戦争だったかんなー。男子校だったし…」
「「「男子校!?」」」
乱馬の男子校という言葉に過剰に反応を示し驚いたあかね、なびき、かすみ。
「あの頃は完全な男だったのっ、年中無休でっ。」
あかねたちにすぐさま突っ込む乱馬。
「でもそれだけであれ程恨まないでしょ」
「…だよなあ。と、なると…」
乱馬が考えているとお湯を沸かしてきてくれたかすみにお湯をかけてもらって男に戻った。
その直後、何かを思い出したのか顔を上げ
「あっ!」
ぴし、と指を鳴らし思いついたように声をあげた。
すると乱馬は焼きそばパン、コロッケパン、メロンパン、カツサンド、ミートパン、ワカメパンを良牙から奪い取ったことを打ち明けた。
「う〜〜〜〜ん。」
真剣に悩む乱馬。
「まあ、チリもつもれば…かしらね。」
そんな乱馬にかすみが助言した。
「ん…?ちょっと乱馬。果し合いの日、昨日よ。」
あかねは果たし状を覗き込んでつぶやく。
「平気平気。あいつ、極端な方向オンチだから。どーせ今頃…」
「そういえば真奈美は?」
あかねの言葉にみんながそういえば、とあたりを見る。
真奈美がいない。
と、汗を拭きながらみんなのところに来た。
「何してたんだ?」
そう乱馬が聞くと
「トレーニング。」
そう言ってかすみさんに近付くと小袋を渡した。
「何だそれ?」
「お金。」
そう言うとなびきがその小袋をかすみさんからするりととって中身を見る。
「な、何このお金?」
そのなびきの声に乱馬とあかねちゃんも見る。
「いいって言ってるんだけど居候になった月から毎月バイト代を家に入れてくれてて...」
そのかすみさんの言葉になびきとあかねちゃんは乱馬を見る。
「真奈美は違うわね」
その言葉に乱馬はぐさりとしたのだった。
「そういえばなんのバイトなの?」
あかねちゃんにそう言われて少しだけあげる。
「新聞配達、パーラーでのバイト、他に講師とかかな?」
「パーラーってあのカフェ?」
「うん。店長さんがいい人でさ。客引きと少し厨房なのに結構な額くれんだよ。」
「(たしかに真奈美の顔なら沢山お客さんが来そうよね...)」
「講師ってお前俺らと同い年だろうが。」
「自分の出来ることを他人に教えるくらい小学生でもできるだろうが。言っとくが俺はお前とは違って馬鹿でもないからな。」
そう言って歩いていく真奈美に乱馬の顔が引きつったのは言うまでもなかった。
「...確か真奈美くんって張り出されてた時一位だったわよ?」
「「え。」」
―乱馬の予想通り良牙くんはなかなか現れなかった。
その間に、乱馬は、良牙くんへのパンを買いにいっていたが、すでにその賞味期限は切れていた。

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