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1週間後。 「お待ち、乱馬!」 「ここまでおーいで!」 「ガキかよ...」 また乱馬があかねちゃんを怒らしあかねちゃんと乱馬の追いかけっこが始まった。 私はそれを眺めながら文庫本を読んでいた。 「(ん!?殺気!)」 乱馬は何かを感じた様子で上を見上げると番傘を持った男の子が頭上に迫っていた。 私はそれを見て持っていたカバンと文庫本を落として固まる。 「乱馬!!覚悟っっ!!」 男の子がどすっと番傘を乱馬のもとへと振り下ろそうとしたが乱馬は避け避けたところの地面には大きな穴が開いた。 「おまえは…!」
「ふっ相変わらず、逃げるのが上手いな、乱馬。」 「知り合い?」 あかねが乱馬にたずねる。 「ほらっ、あのっ。なあっ。」 そして真奈美がいないのに気付いて周りを見渡すと荷物を落としたまま固まっているのが見えた。 「(...真奈美?)」 「一つだけ聞かせろ、乱馬。なぜあの時勝負に来なかった!!」 男の子が乱馬に向かい叫ぶ。 「あ〜っ、思い出した!!おまえ前の高校で同級生だった…」 ぽんと手を突きながら思い出したように叫ぶ乱馬。 「響良牙だっ。久しぶりだなあ。」 良牙を指差しながら言う乱馬。 「質問に答えろ!」 「おれ約束の場所で三日間待ってたんだよ。」 「三日…」 あかねが驚いた様子で呟く。 「そう…四日目に俺がその場にたどりついた時、きさまはすでにいなかった。」 拳を握り締め、震えながら言う良牙。 「俺からもひとつ質問していいか?良牙…。何であんな待たされにゃならなかったんだ?」 良牙の家から一本道の空き地で決闘しようとしてたんだから確かに乱馬の言葉は正しかった。 「きさまあっ!!俺が四日間のいうのうと散歩していたとでも思っとんのか!!着くまでにどれだけの苦汁をなめたか!!」 「方向オンチかな?」 「方向オンチだな。」 「うん、極度の方向オンチだ。」 生徒達があちこちで噂する。 「男の約束を破って…父親と一緒に中国なんて逃げやがって!!」 びっと番傘を振り回す良牙。 それを乱馬は軽々と避ける。 「よーするに、決着をつけにきたってわけか。」 「決着!?なまるぬい、復讐だあっ!!」 番傘を乱馬に向かって投げる良牙。 だが乱馬はそれをスッと避けその傘は真奈美の方へ飛んでいく。 今だ動かない真奈美の服に微妙にあたってしまい制服が…斬れた。 それでも真奈美は動こうとせず流石の乱馬も真奈美がおかしいことに気づいた。 良牙は番傘をぱしっと受け取ると 「俺はどんなテを使ってでも、きさまの幸せをぶちこわす!!」 「おれの…幸せ…?」 乱馬は驚いたようにつぶやいた。 「おれって幸せだったのか?」 「さー、幸せなんじゃないの?」 「とりあえず真奈美はどうしたんだ?」 「分からないのよ」 そう言うとあかねは真奈美のところへ駆け寄る。 「真奈美?大丈夫?」 その声に真奈美はぼんやりとしていた目をやっとあかねに向ける。 「あれ?あかねちゃん、どうした?」 そう言った真奈美の顔は少し焦っていた。 そして乱馬たちが先ほどいた場所を眺めて、何事もなかったように荷物を拾いまた歩き出したのだった。
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