ここは東京…ではなく、かなり離れた四国。
ある1人の男が迷っていた。
「いのししじゃあ〜っ。」
「大いのししが出よったぞ〜!」
どどどどど
いのししは、まっすぐに、ある男のところに突進していく…
「危ない!」
「逃げんか〜。」
そんな村人の声を無視しその場に立ち止まる男。
持っていた番傘でいのししの突進を止めると、そのままいのししをぶっ飛ばしてしまった。
「いやあ〜!!」
「ごついやっちゃなー。」
「武道やっとるんか?」
「山ごもりでもしよったんじゃろ?」
村人達がその男に寄って行って話しかける。
「……。風林館高校はどこだ?」
男は地図を持って村人達に尋ねる。
「風林館高校…?」
「あ?地図か、見せてみ。」
村人のたちがその地図を見る。
「おい、これ、東京ちゃうんか?」
「ここ四国やぞ。」
村人達がそう答えると
「そうか。騒がせたな…」
と言い残し去っていった。
「迷子か…」
村人達は男が去るところを見ながらぼそっと呟いた。
「(早乙女乱馬、首を洗って待っていろ!男と男の真剣勝負、もはや逃げ隠れは許さんぞ!!)」
男は東京を目指しながらそう心の中で思っていたのだった。
同時刻、東京―
ザー…
今日は朝から雨が降っている。
そしてかすみさんとなびきさんがらんまを必死で追いかけていた。
私はと言うと部屋で図書室で借りた歴史の本を読んでいる。
「悪い!しばらくかくまってくれ。かすみさんとなびきが俺に女の服を着させようとするんだよ。」
そう焦ったように言って部屋に入ってくるらんま。
私はそれを無言で承諾する。
しばらくしてなびきさんとかすみさんがやって来た。
「乱馬くん!真奈美くんのとこに逃げたって無駄よ!」
「とにかく、ちゃんと服を着て。」
なびきさんとかすみさんがそう訴える。
その言葉にようやく本から顔を上げるとため息をついた。
するとあかねちゃんが部屋に来る。
「あ、乱馬の服は、あたしが貸してあげるから、心配しなくていいよ。」
「へ?おい!真奈美が服貸せよ??」
「拒否する。」
バッサリとそう言うとらんまが殴ろうとするので軽く受け流す。
「それなら、安心ね。」
「乱馬くん、早く服を着なさいよ。」
そうかすみさんとなびきさんは言って私の部屋を出て行った。
「とにかく、あたしの服、貸してあげるから。」
「…絶対スカートはイヤだからな。」
らんまのつぶやきに、はいはい、と答えしばらくしてからクローゼットの中から適当なのを出してきたらしい服をらんまに渡した。
「はい。」
「サンキュ。」
「...らんま。お前は男だろうが姿は女なんだから俺の前で着替えるな。」
そう言ってまた本に視線を落とす。
「へー。けっこうピッタリだね。」
「ちょっと、胸、苦しいけどな。」
その言葉に本を閉じてらんまの頭を殴る。
「借りておいといてそれはないだろ馬鹿。あかねちゃん、これから暇?」
「へ?うん。」
「なら一緒に出かけないか?行きたいところがあるんだが男一人だと入り辛くて...」
そう言って二人で新しく出来たカフェのパーラーへ行って一緒にパフェを食べたのだった。
「なんか意外ね。真奈美がパフェなんて。」
帰り道にそう言われて軽く笑うと
「実は甘党なんだ。」
と少し照れながら言った。
そして、天道家に帰るとお土産に買ったケーキをみんなで食べたのだった。

一方、北海道…
「風林館高校はどこだ?」
「ここは北海道だよ。」
また四国で迷っていた男は今度は北海道で迷っていた。

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