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そして時間はどんどん過ぎて行き体育の時間となった。 私は背中の怪我を理由に体育を見学する。 それも理由だけど更衣室が問題だからな...今は早着替えはできないからな。 と、思って遠い目をする。 一応身体は男だけど中身は女だからな。 忘れられてると困るけど女だから??
と、男子から拍手が起こる。 「すっげーな。早乙女。」 「だーって、こいつ、中国で本格的な曲芸学んできたんだぜ。」 あ、見てなかった。 まあ、乱馬だしいいか。 「拳法だ。」 拳法を曲芸と間違われた乱馬はすぐさま反論する。 その会話は次第に変な方向へと向かう。 「ときにお前、あかねとどこまでいった?」 「は?」 その言葉に私はそちらを見る。 「とぼけんなよー、許婚だろーが。」 「別に親が決めただけだ。おれは…」 「そこのやつら、そいつに聞いても何も出てこねーよ。そいつ体力馬鹿だから。」 そう言うと男子たちはキョトンとした顔をしてにやりと笑う。 ん?何だ? 「お前は好きなやついるんかよ。」 そう問われた。 「好きなやつか...いるぞ。」 そう言うと乱馬まで食いついてきた。 「どんな奴だ?」 そう言われて思い浮かべる。 「単純で思い込みが激しくて可愛いけど残念というか天然な奴だな。でも真面目で努力家で律儀なところもあって、目標に向けて努力してる姿につい応援したくなるんだ。」 そう言うと一気に周りが静まる。 「かなり惚れてんじゃねぇかよ!」 そう言われるとはにかむ。 「そりゃ初恋だからな。あんなに可愛くてでも男前な奴はそういないよ。」 私はそう言うと少し心がツキリと痛んだ。 と、 カキーン そう女子のほうからバットの音が聞こえた。 見るとバットを持って驚いてるあかねちゃん。 「なあ、早乙女、おまえ拳法の達人だろ?ヨケるとかウケるとか出来なかったのか?」 「お前、何やってんだよ。」 あかねちゃんの打ったボールは乱馬の頬にあたっていた。 「…ちょっと考えごとを。」 そう言った乱馬の頬はかなり痛そうだった。
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