―翌日―
「なにいっ!?」
「えー、よく知ってるわよ。おさげでチャイナ服の女の子。」
なびきと九能は教室でらんまのことを話していた。
「本当だなっ、天道なびきっ!!」
九能は、そう言うと机に向かい何かを書き始めた。
手紙の宛名には《木の上のヤカンの女へ》と書かれていた。

「これ。」
場面は変わって天道道場。
なびきは、乱馬にその手紙を渡した。
「九能が俺に?」
「女の子の方にだってさ。同一人物とは思ってないみたいだけど。」
「九能先輩って馬鹿なんですね。」
とうとう来ましたか。
内心で笑うと
「真奈美くんってたまに毒舌になるよね。」
なびきに言われた。
貴女には言われたくありませんでしたよ。
「俺も人間なんで。」
「そうよね。」
「日曜日午前十時、風林館高校第二グラウンドに来られたし。」
乱馬が文面を読む。
「果たし状だわ。」
「九能ちゃん、負けず嫌いだから。」
「…執念深そうだしね。」
思わず苦笑いする。
私は内心で女の姿で過ごしてなくてよかったと思いながら乱馬に合掌した。

日曜日。
あかねちゃんと共に物陰からのぞいてるだけだが、こっそり着いて来た。
と、九能先輩がとうとうらんまに話しかけた。
「よく来たな、木の上のヤカンの女っ。」
「こりねー野郎だな、お前は。」
するとらんまが九能先輩が木刀を持ってないことに気づく。
「こら、木刀はどうした、木刀は!」
「ふっ。木刀など必要ない。」
「ほー、たいした自信じゃねえか。」
「きさまにくれてやるのは…」
九能先輩はそう言いかけ
「これだあ!」
らんまにバラの花束を投げつけ、
「好きだ。」
そう九能先輩は告げ、去っていった。
「九能先輩って完全なる馬鹿だね。」
たまらず私は吹き出すとあかねちゃんも笑い出す。
らんまは放心していてその場にへなへなと座り込んでしまった。
「は、ははははは。うそだろ…。」
冗談じゃないんだよ、らんま、残念だけど…。
「ま、か、帰ろう、らんま!」
「そ、そうだよ!帰ろう、らんま!」
腰が抜けたらんまを引きずってその日は帰ったのでした。
帰る途中に思い出して二人とも何度かにやけたのは仕方が無いと思う。

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