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中国にいてもあれだし、日本に行くか。 私は朝日が出るとともに荷物の整理をして歩き出した。 夢の中で私は良牙くんの技、獅子咆哮弾で何処かの山にある道場が一瞬で山ごと更地になった夢を見た。...きっと手紙の中に書いてあったから夢に出てきたんだな、と悟りを開くような目をしながら歩いていた。 その道中知らない紳士と会い、なぜか馬車に乗せてもらい、なぜか空港まで連れて行ってもらった。 そして何故だか知らないが飛行機のチケットまで取ってくれて、これには流石に申し訳なかった。 飛行機の中で先ほどあった紳士が死んだじいちゃんに似ていたな、と考えて心の中で合掌しておいた。 数時間後、私は無事東京に着いた。 さて、ここからが問題だ。 家が無い。 つまりあかねちゃんの道場にお世話にならないといけない、ということだ。 理由を考えなければ...そう考えながら歩いているといつの間にかかなりの距離を歩いていたようで道場に辿り着いていた。 「ごめんくださーい!」 私、いや俺はそう言うって中に声を掛けるとドタバタと足音。 見れば涙を流した早雲さん、同じく涙を流した人間の姿の玄馬さん、女の姿の乱馬、そして少し息があがっている髪の長いあかねちゃんがいた。 「早乙女さんはいますか?」 そう聞くと早雲さんが玄馬さんとらんまを指差した。 「早乙女さんの許嫁なのですが、許嫁を解消していただきたいのですが。そしてここの道場は誰のものですか?」 そう言うと早雲さんが手を上げる。 「すみませんがこちらで住み込みで道場の弟子にしてもらえませんか?」 そう笑顔で言った。 我ながらこのアイドルの顔負けの顔での笑顔は武器だと考えていると、早雲さんがとりあえず中に上がらせてくれた。 「俺、家が道場で跡取りなのですが、まだまだ己の力不足と道場を修行中誤って壊してしまいましたので修行の旅をしていました。そんな時、親から許嫁の知らせと、この道場の娘さんはその許嫁の方の真の許嫁候補であると書かれた手紙を貰い受けました。 俺としては修行の身故、許嫁は取り消してもらいたいと思いましたが、修行として旅をしていてとうとう金が底をつき、手紙にいざという時は早乙女さんを頼りなさい、と書かれていたので真の許婚であるこちらの道場で弟子としてでも置いていただけないかと思いまして訪ねて来ました。 厚かましく図々しいのは承知しておりますがどうか置いていただけないでしょうか。」 そう半分嘘を混ぜ込みながら言うと早雲さんは信じたのかわからないが二つ返事で了解してくれた。 とりあえず寝床は確保できた。 三姉妹にも挨拶を済ませらんまに顔を向ける。 ここで玄馬さんがパンダって知ってるのはまずいし乱馬も女の扱いをしないとダメだ。 「早乙女乱馬さん、初めまして。...親には男だと伺っていたのですが親の間違いでしたね。同じ性別の許嫁はどうなのかと考えていたので内心ホッとしてます。 玄馬さんですよね?母からお話は少しだけですが聞いています。息子さんのためにはるばる中国まで修行をしに行ったと聞きまして酷く感激しました。」 そう言うとらんまは一瞬だけ顔を引きつらせた。 そりゃあ、呪泉郷であんな姿にされちゃったらね… 玄馬さんは何故だかわからないが私のことを気に入ったらしくいきなり抱きしめてきて驚いた。 「ねぇ、手合わせしようよ。」 そう言ったのはあかねちゃんではなくらんまだった。 私は少しキョトンとしたが 「軽くなら。」 そう言って道場に行く道は知っているけど、あかねちゃんに道を教えてもらって道場に向かった。
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