しばらくしてから走るのをやめ、木に凭れかかった三蔵を死んだ目で見つめているとハリセンで叩かれた。
けれど、それすら痛みなど感じず自嘲気味に笑うと空を見上げた。
相変わらず霧が酷くて月が見えない。
「...私、生きてる臭いするかな?」
そう呟けばタバコの臭いが辺りに漂う。
見れば三蔵がタバコに火をつけていた。
「...真奈美さんはいい匂いがしますよ」
八戒の一言に私はそっか、と呟いて同じく木にかかった。
「...三蔵」
「何だ くだらんこと聞いたら殺すぞ」
「あ じゃあ やめようかなぁ」
「ケンカ売ってんのか貴様」
「僕はここにいてもいいんでしょうか」
「...本当にくだらねーな 二度と聞くなよ」
「お前は俺を裏切らない そうだな」
「...狡い人ですね 貴方は」
「八戒はお日様と石鹸の匂いだよ」
二人の会話にそう一言言えば二人から
「その匂いはお母さんからするんですよ?」
「八戒は母親か」
そうつっこまれた。
と、地面に無数の棒が突き刺さる。
「ククク...どうです 堪能して頂けましたか?
最後の語らいのひと時は」
上を見上げれば清一色がいた。
「おや、残念。いい表情だったのに...」
「いい匂いって言われましたからね」
そう言って刀を召喚する。
と、いきなり八戒が苦しみ出した。
「八戒??おいっ一体どうし...」
「来ちゃ駄目ですッ??」
「何?」
と、八戒が三蔵に襲いかかった。
突然のことで動けずにいると清一色に腕を掴まれた。
「何かしら」
「いやぁ、邪魔されちゃ困りますから」
そう呟かれると私は切り裂かれた。



▼飽和

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