木々の中を歩いていると目の前に人影が見えた。
それに私は顔をしかめる。
「昼間ぶりですね真奈美」
「貴方には呼ばれたくないですね」
いつ知ったのかは知らないが名前を言われたことが嫌だった。
「それにしても素敵でした」
ニヤニヤしながらそう言われた言葉。
何のことだろうかと考えているといつの間にか目の前にいる清一色。
バッと離れようとしたが腕を捕まれてできなかった。
「仲間を傷付けた感想、教えてください」
「ッ?!」
ニヤニヤした笑みをやめた清一色が言うと私は目を見開いた。
そして捕まれていた腕をなんとか振りほどくとそこから駆け出した。
「おや、おいかけっこですか?」
清一色の呟きは真奈美の耳には入っていなかった。


無我夢中で走っているといつの間にか先程の場所よりも離れてしまい足を止めた。
「感想なんて、無いわよ」
額の汗を拭うともう一度走るために顔をあげる。
「おい、真奈美」
「三蔵?」
目の前に三蔵が歩いてきて動きを止める。
漫画でたしか…あの三蔵は本物?偽物?
少し悩むと三蔵が足を止めた。
「探したぞ」
そう言われて偽物だと感じる。
私は手を刀に変えると斬った。
「何の冗談ですか?」
そう言いながら髪の毛を毛先だけ切ると周りに投げた。
それは手裏剣になると周りの木々に刺さる。
「おっと、危ないですねェ。それにしてもなぜわかったんですか」
そう聞こえそちらを見ると木の上に優雅に座っていた。
私はそれを見ると
「三蔵が心配するわけないので」
きっぱりと言いのける。
そして小さく舌打ちをしてからまた走り出した。
「無駄なことを!実に良い」
そう清一色は言うと既に見えなくなった真奈美を見たのだった。

「悟浄、真奈美見ませんでしたか?」
僕は先程から見えない真奈美さんを探す。
と、茂みから音がした。
「真奈美さん?」
僕が呼び掛けると出てきたのは人形だった。
「に…人形?何でこんなトコに…」
そう悟浄が呟くとその人形はカクンと口を開いて声を発した。
「イ尓好!ヒトゴロシノ猪悟能!!」
麻雀牌…清一色の駒だった。

猪八戒は『猪悟能』…という名前に固まった。
そして人形から発せられる言葉にごくりと生唾を飲んだ。
「おっしゃりたいことはよくわかりました。でも僕にご用がおありなら」
そこで一度区切ると
「出てきて喋ったらどうですか」
鋭い眼光を見えない相手に向けてそう言った。
「ソウソノ顔ダヨ…猪悟能!!ソレガ君ノ本当ノ顔ダヨ!!」
その言葉に八戒は目を見開き、悟浄は人形を蹴りあげた。
「………ふざけろよこの下衆野郎…!!
ジープに戻るぞ八戒!別行動取らねぇ方がいい」
「…はい ?! 悟浄危ない…!!」
そう言うと人形の口から閃光が悟浄に向かって放たれた。
そして悟浄から赤い血が吹き出る。
「な…?」
「カカカカカ!!オ返シダヨ!!」

▼スタート

| top |

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -