―徐倫とナマエ―

「聞いてよナマエ!」

ジョルノとプリンをもぐもぐと食べていれば、本日三人目の来客が現れた。
バン! と豪快に開かれたドアは、よく壊れずに耐えたものだと感心すらする。

「ジョリーン! お疲れ様」
「お疲れさまです」
「サンキュー二人とも。あ、プリンじゃん、あたしも欲しい!」
「冷蔵庫にあるから、ジョリーンもお食べ」
「やった!」

ぱたぱたと冷蔵庫に駆け寄るのは、承太郎の娘の徐倫だ。
兄の子孫たちの中で唯一の女子である彼女は、会ってすぐにナマエに懐いてくれた。
やはり同性の存在は大事なのである。
それも関係してか、彼女はナマエのことを

「姉さん」

と呼んで慕ってくれていた。

呼ばれるたびに内心可愛くて、抱きしめて泣きながら頭を撫でたい衝動にかられるが、必死にそれを耐える。

「それで、何かあったみたいだけど?」
「そうなのよ! 見てよこの髪、父さんがやったのよ。折角試合終わってセットし直したばっかだったのに、あのクソ親父!」

ふん、と鼻を鳴らしながら、徐倫はナマエの隣に座る。
ナマエは内心可愛い子孫に挟まれる喜びに浸りながら、ふむふむと話に耳を傾けていた。

「よくやったって珍しく褒めるから油断してたわ。頭撫でてくるなんて思わなかった」
「良いじゃないですか、褒めてくれたなら」
「だからってボサボサになるまですることないでしょ」

ジョルノの言葉に、徐倫はもごもごと答える。
一応、嫌ではなかったのだろう。むしろ表情から、嬉しかったのだというのは汲み取れる。

が、あの承太郎のことだ。

ろくに親子で交流も出来ていなかったと聞いているし、きっと不器用さを発揮してしまった結果だろう。

「あ、そうだ。姉さん、後であたしの髪直してよ」
「私が?」
「うん。姉さんにしてほしいわ。そしたらきっと、次の試合でも勝てそうな気がする」

にこりと笑う徐倫に、ナマエは頷いた。

「もちろん。可愛い妹分の頼みなら、いくらでも聞いちゃうよ」
「なら僕もお願いしても良いですか、三つ編みが緩んでしまったので。ほら、後ろ髪って少しやり辛いでしょう?」
「ちょっとジョルノ。あたしが先、抜け駆けは禁止だからね」

ナマエを挟んでむっと睨み合うジョルノと徐倫に、ナマエは小さく笑う。

「じゃあプリン食べ終わったら、ジョリーンからね」

よしよしと思わず二人の頭を撫でれば、揃って驚いた顔になる。
そのまま大人しく「まあそれなら……」「仕方ないですね」と言いながら、ほんのり頬を赤らめながら目をそらした。


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