(捏造/サスケが里にいます)
縁側に腰掛けるサスケを、後ろから眺める。後ろから見ても格好いい。というか、サスケという人物を構成する要素全てが格好いいのだ。そんなことを言おうものならあいつはいつものクールさをどっかにやって、「何言ってんだ」とか言いながら照れるのだろう。
お盆に二つのグラスを置いてお茶を注ぐ。それを縁側まで持って行った。
「サスケ、お茶飲む?」
お盆を置いて、お茶を勧めた。
「ああ、もらう」
「暑い?」
「夏だからな。でもまあ、ここは涼しい」
風に吹かれて風鈴が鳴った。サスケが傍らにあった団扇を手に取り扇ぐ。
「名前、早く来い」
隣をとんとんと叩く。とても有り難い誘いだが、私にはそれより先にやりたいことがあった。
「さーすけ、」
先程眺めていた背中に抱きつく。サスケの肩に自分の顎を乗せて、サスケのお腹に両手を回した。ふふ、と笑うとぴくりとサスケが反応する。
「…おい、」
「サスケって格好いいだけじゃなくてたまに可愛いよね」
「嬉しくねえな」
「喜ばせようと思って言ってるわけじゃないからね」
耳朶を甘く噛む。
「ッ、…いい加減にしろ」
ちょっと怒らせてしまったので、頬にキスして隣に移る。
「ごめんごめん。可愛くてつい」
あはは、と笑っていると、顎を掴まれ唇にキス。不意打ちにきょとんとしていると、仕返し、とサスケが呟いた。二人して、笑みがこぼれた。
「いいよねー、こういうまったりとした時間好きよー」
お互い任務がない日なんてなかなかなくて、だからこうして昼間から二人でいられるのも珍しい。
「しかも、サスケが隣にいるという素晴らしいオプション付きで」
「オプションかよ」
「そうやってすぐ怒るんだから。冗談に決まってんでしょうが」
何を話すでもなく、取り留めなく、適当に。それがどれだけ幸せなことか。サスケもわかってくれていると思う。
「ずっとこのままだったらいいのにー」
サスケの肩に頭を預けて言う。隣でサスケが「重い」とか言っているけれど気にしない。ただの照れ隠しだ。
「ここ、丁度いい気温だね、」
「……寝るなよ」
「え、眠くなってきたところだったのに」
「お前この間涎垂らしただろ」
「忘れて!お願い!!ホントそれは失態だわ…!!」
サスケがゆるく笑った。こういうとき、こいつは本当にきれいに笑う。それを見せてくれるのが私だけというのが嬉しい。
心地よい温かさに、うとうとと舟を漕ぐ。サスケが隣にいるから余計に安心して。起きていてもっと話していたいけど、もう勝てそうにない。
「おやすみ」
そう言ったサスケがすごくやさしい顔をしていた気がした。
目を覚ますと私はサスケに抱きしめられるように布団の上に横たわっていた。乱れた服から覗くサスケの鎖骨やら胸元やらにどうしたらいいのかわからなくなる。
恐る恐るサスケの顔を覗き込むととても穏やかな顔で眠っていた。
(わざわざ布団敷いて、運んでくれたんだ)
嬉しくて、自然と笑ってしまった。もぞりとサスケが動いて、抱く腕に力が入る。それにまた笑って、自分の腕をサスケの背中に回し、自分もぎゅっと強く抱きついた。そうしてもう一度目を閉じたのだった。
きみがくれた存在証明
(わたしの生活の一番大きな部分を占めるきみ)
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