2500企画 | ナノ

(風影襲撃後)

我愛羅の木ノ葉訪問の日、テマリもカンクロウも丁度別任務で里を出なければならなかったので付き添いとして私がついて行くことなった。これは断じて私の意見ではない。風影命令なのだ。

だからいくらテマリが、「お前なんかと我愛羅を二人っきりでなんか行かせてなるものか!」とか「我愛羅、そんな女はやめろ!姉さんが許さないぞ!」とか何とか言っていようと関係ない。何度も言うようだが風影命令なのだ。行くしかないだろう!

任務の出発が私達よりも遅いテマリに私達が出発する直前、「お前、我愛羅に何か言ったんだろう…!」と若干キレ気味に言われたが、

「最終決定は風影様だから」

とだけ言ってやった。その時のテマリの顔は忘れられない。隣にいた我愛羅に、「二人ともいい加減にしろ」と言われたのでそれ以上は何も言うまい。

私はこれから、普段忙しい上に兄姉(特に姉)に溺愛されなかなか一緒に過ごせない恋人と任務という名のデートを楽しむのだから!



* * *




今回の木ノ葉訪問は、火影と風影の会談がそもそもの目的だった。いくら同盟国、火の国の隠れ里であろうと、暁の動いている現状では私一人の付き添いだけでは勿論済まされない。暗部の小隊が幾つか、私達が隠れ里に着くまでついて来る。が、私達が木ノ葉に入ってから三日間は、誰にも縛られず(火影様との会談以外は)我愛羅と過ごせるはず、だった。

「があらあああ!ひっさしぶりだなああ!お前、ホント、元気になって良かったってばよ…!」
「ちょ、ナルト!今さっき到着されたばっかりなんだから!!ごめんね我愛羅くん。ほらナルト、行くわよ!」

春野サクラに耳を思いっ切り引っ張られてうずまきナルトが退散していったかと思えば、

「よう、我愛羅じゃねぇか。今日は兄貴と姉貴はいないんだな」

奈良家のガキに話しかけられたり、

「あれ、その瓢箪…もしや我愛羅くんでは?」
「おお、砂の子じゃあないか!」

ゲジマユ二人に詰め寄られたり、

「や!久し振りだね、我愛羅くん。会談は明日か。遠路遙々お疲れさん。そちらの方は初めましてかな?どうも。我愛羅くんにはオレの教え子がお世話になってるんだよね。これからも宜しく」

あのはたけカカシに挨拶されたり、

「よお、我愛羅じゃん!木ノ葉に来るなんて、どうしたんだよ」
「キバ、明日は木ノ葉と砂の会談があると先生が言っていただろう」
「そうだっけ?」
「そ、そうだよ、キバくん。す、すみませんお邪魔して」

犬連れとサングラスと日向の女の子に絡まれたり…

なんだこれ、全然二人っきりになれない…!

その後も何だかんだ人に話しかけられて全く二人っきりにはなれないのであった。



* * *




宿に入り、風呂を済ませて部屋に戻ると、浴衣姿の我愛羅が窓を開け外を眺めていた。

「我愛羅、いくら同盟国とはいえそんな無防備にしてるのは頷けないよ。窓は閉めた方が良い」
「大丈夫だ」

我愛羅は視線も寄越さない。窓も開いたままだ。

「我愛羅、駄目だよ。閉め、」
「名前、他に言うことがあるんじゃないのか」

やっとこちらを向いた我愛羅に近くに来るよう促された。

「ずっと苛々しているだろう」
「…………」

隣に腰を下ろすと、我愛羅の手が伸びてきて髪を梳かれる。ゆっくり、何度も。

「名前、」
「………もっと、二人っきりになれるかと思ってた」
「任務だろう」
「そ、うだけど」

髪を撫でる指先が甘い。それにいつでも甘えたくなるのだ。

「二人っきりになれる機会なんて、全然、ないから…舞い上がっちゃって。ごめん。だから気にしないで」

素直に撫でられていたのが、恥ずかしい。勝手に舞い上がって、勝手に苛々して。近くにいたくなくて腰を上げようとしたとき、髪を撫でていた手が肩まで下りて、ぐ、と力が入る。

「ちょ、っと、我愛羅、」

立てないし、なんだこのいつの間にかの近距離は。離れたかったのに、今じゃ我愛羅の顔が目の前。

「今は、二人っきりだ」

そのまま、倒される。そして、軽くキス。

「今なら何をしても、いいだろう?」

真上に我愛羅、その先に見える天井。浴衣から覗く鎖骨が酷く色っぽかった。



君が手を繋ぎたそうにしてるの気付いてたからわざと、ポケットに手を突っ込んで歩いた

(それはこれから飛びきり甘やかすため)


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