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▼愛でもなく 恋でもなく
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愛していないというのなら、いっそ捨ててくれればいいのに。
トドメもささずに緩やかに縛られる。確かな言葉などひとつもくれない。けれど声で、目線で、特別なのだと嫌という程思い知らされて、逃げることさえままならない。
不思議なくらいに執着する。けれど決してそれを愛とは認めない。頑ななまでに否定するくせに傍に置こうとするその態度は何処までも矛盾していて私を惑わせる。
身勝手で、我が儘で、傲慢で、でもそのひとつでもなくしたらそれはもう彼ではないのだ。
そんな彼を私はたまらなくいとおしいと思うのだろう。
(リドル/愛でもなく 恋でもなく)