触らないで、と顔を歪めた少女はポケモンのはいったモンスターボールを庇うように手を腰元にやり、一歩身体を引いた。ブラックは触れることに戸惑いつつも悪いことをするわけじゃないとだまってみてくれるが、彼女は僕にボールを触らせることを極端に嫌う。穢れた世界を見てきたことを知っているから、彼女はポケモンに僕の心が見えないかと心配らしい。それは、僕が心配なのか、それともポケモンが心配なのか。分からないけれど、どっちにしても僕は彼女のポケモンと会話できたのは2度だけだ。はじめてあった時と、それから、



「君のポケモンも、ブラックの子たちと同じで、幸せなんだろうね」

「何、読み取ってもないくせに、」

「憶測位構わないはずだ。それに三度目だ、トモダチのキモチはもう変わることはないだろう、君が、酷いことをしていなければね」

「酷いこと?するわけ、ない。だってこの子達に、ポケモンに罪なんて、ないから」



また顔を歪め、泣きそうな顔をする。ブラックの前じゃ強く居るくせに、僕と二人でこうして対当すると彼女は途端に精神の弱さが顕著にでる。だから僕は嫌われているのかもしれない。彼女は非常に僕に良く似ている。世界の汚さを見てしまった者として、心を一部病んだ者として。僕が彼女たちと関わらなければ、トモダチを救うとこんなことをしなければ、彼女も、ブラックも。傷つくことはなかったんだろう。だがもう遅い。僕はブラックが安心できるように、そしてトモダチが安心できるように、世界を作り変える。ポケモンを人々から、開放する。



「でも、君とブラックだけは、寄り添わせてあげてもいいかもしれない」

「、何の話…?」



眉を寄せるホワイトに僕はただ笑う。僕は君に嫌われているけれど、僕は君をさほど嫌っては居ない。ただ、僕と同じく醜さを知ってしまった、哀れな事実者として――可哀想だとは思うけれど。同時にブラックという光を求める者として同志だとも思うし、僕と同じで世界を嫌う面があるくせに、目を背ける様が気に入らないから、それが少し引っかかるけれど。大まかに見てホワイトという存在を僕はブラックの次に、トモダチと同じくらい受け入れているつもりだ。



「理想郷が出来たとき、君もブラックと同じ待遇にしようか」

「―お断り、ブラックも、私も、自分達だけが、なんて世界……要らない。そんな世界になるくらいなら、…醜く歪んだ世の中に、飛び込んでやる」



背を向けて歩き出す彼女を僕は止めない。―――ああ、そうやって大見得切って見せるけど、僕は知ってる。君は、一人では何も“しない”けれど、ブラックと一緒だったらどこへだって、飛び込んで行けるんだよね。だから余計にブラックが消えたときを見てみたいと思う。さて、これはやはり彼女を嫌いだという証拠に―なるのか、ならないのか。



かき混ぜられた同志二人

(ブラックが恋しくて愛しき存在なら彼女は遊び傷つけたい存在かもしれない、)

(当サイトの二人は同志で分かり合えるけど、お互いある意味嫌い合ってる存在。だから二人が揃うと、ぴりぴりする)



10.09.24


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -