一緒に旅するか、それともばらばらに行くか。どうする、とふわふわ揺れるポニーテールの双子は尋ねる。跳ねた髪の帽子の少年たる片割れは、バラバラ―でもたまに、会いたい。そうぽつりと漏らし、片割れの少女ににんまりと笑われてしまった。カノコタウンに流れる穏やかな時間の中育った二人は対照的な性格をしている。少年、ブラックは静かで無口。冷静だが迷いやすく、少女から見て頼りなかった。少女、ホワイトは明るく活発的。冷静さを持つが冷めてもいて案外熱し難く、少年から見て頼れる存在だ。ブラックは今後きっと、男の子でもあるしトレーナーとしても立派になり、頼れる存在となるだろう。ホワイトもまた今後大きく成長し、熱くなることも覚えまた素直さを手に入れていくことになるはずだ。一緒に居てその成長を今後も見ていきたいが、双子だからといっていつまでも一緒には居られない。その下準備として、初めての旅は―別れを選んだ。それでも、お互いずっと片割れの居ない生活を過ごしたことがなかったし、不安でもある。たまに、たまにでいい。画面越しは辛い、直接会いたいと思うのは、お互い依存しているわけじゃなく、一つを二つに分かち合って生きてきたからだろう。



「ブラック、」

「…?」

「…気をつけてね」



私は貴方を、守って行けない。口には出さずホワイトはきゅっと己の手を握り締めれば、笑顔を浮かべ旅はやっぱり危険もあるから、と付け加えた。ブラックは一瞬訝しげな顔をしたが、こくりと頷く。―ホワイトはずっとブラックを守ってきた。己の行動に不安を持つ、片割れ。時にはイライラしたし、怒鳴り散らした事だって有る。それでも最後には泣いてしまう自分に彼は頭を撫で、分かっていると言ってくれた。その彼の側を離れる。本当に不安で、どうしようもないのは、ホワイトの方だ。だからブラックが会いたいといってくれて思わず嬉しくて笑ってしまった。暫しホワイトを見つめたブラックは、何がどうわかったというわけでもないけれど、昔のように彼女の頭を帽子ごしに、撫でた。



寄り添う黒白の別れ

(…大丈夫。ホワイトも俺も、…最後にはまた手を合わせられる)(…ん、有り難う、ブラック)

(当サイトの二人はホワイトがブラックを色々な面から守る一方、ブラックがホワイトの精神を守っている、そんな感じです)



10.09.23


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