目の前に存在する黒い髪は自分と似たような髪形。違うのは、瞳の色だろう。此方が金色の光を持つならば、彼の瞳は深海の色とでも言うべきか。だが良く似た存在。けれど双子というわけじゃないし、ましてや血縁関係があるわけでもない。さて彼は一体誰か、両者は考え理解する。



「…あ、バトンタッチか」

「らしいね、…いい?」

「世界が必要としたのは、お前だ」



オレはまだ、“元”と“あっち”に世界がある。でもお前の世界は新しいそこだけだろ?意地悪く笑う金色の瞳に深い蒼の瞳の少年は苦笑いする。お互い手を差し出し触れ合うと、水の波紋が広がりず、と溶けた。これで入れ替わりらしい。ばいばい、また後でね。蒼の瞳の少年がにっこり笑えば、へーへーと金色の瞳の少年は適当に頷きずるずると溶けていき姿を消す。蒼の瞳の少年はそれを見届けると、自らも溶け出すよう触れ合い水の波紋の出たそこへと全身をつっこめば、ぱちりと目が覚め白いベッドから身体を起こし、いそいそとベッド下において置いた“はず”の鏡を手に取った。



「…金色じゃない瞳。はじめまして、ぼくのからだ。…この世界での僕は、僕だ」



面倒くさいなー。ぽつりと呟けば、「ヒビキ、ヒビキー!」と母の声が聞え、はーい!と返事をして同じ場所に鏡を置いく。呼ばれた名は与えられた世界での己の名。―ああ入れ替わり、新しい居場所になるかもしれなかった世界にはいれなかった元もとの自分は、この名ではなかった。あの美しい金の瞳にふさわしい名、―そう、ゴールド、だった。



入れ替わりの始まり

(HGSSの始まり)



10.09.23


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