君は僕が側に居ることを嫌がらないの、そう尋ねればブラックは緩く首を傾げ「嫌ならとっくの昔に拒絶してるよ」と淡く笑った。それじゃあ、僕がこうして触れるのは嫌じゃないの?と彼の左手を取って軽く手を絡ませれば、それだって同じだとよ困った顔をして笑う。じゃあ、僕が君を好きでいることはどうなの。腕を引いて抱きとめれば、「俺も好きだからお互い様」とぽつりと呟かれた。じゃあそれでいい、君が僕を嫌いじゃないならそれでいいよ。抱きしめて耳元で呟けば、「今日のNは怖がりやだね」と背中に手を回されて囁かれる。そうかもしれない、僕はブラックが僕を拒絶することや嫌いになることを恐れてる。怖いのだ、彼が僕から離れるのが。
「じゃあ、離れないよう今日はこうしていようか」
「…ホワイトに見つかったら厄介だね」
「此処の場所を知らないだろう?」
「それはそうだけど。…今日はもう僕から離さないよ、それでいいの?」
「俺は、Nにずっと触れてもらえるなら、…それでいいよ」
「ブラックは、馬鹿だね。…僕はずっと君を離すつもりなんてないよ」
僕は独占欲が強いんだ。君に飽きることもなければ手放すつもりもない、手に入れたものは永遠に僕のものだ。片手でブラックの耳元の髪をかきあげれば、くすぐったそうにブラックが反応して僕は面白くて笑ってしまう。
「じゃあ、俺もNをはなさない」
「それがいいよ」
軽く少し離れて見上げてくるブラックに笑いかければ唇を彼の頬に寄せる。ふんわりと彼から甘い匂いが漂ってくる。そういえば、さっきまでお菓子を食べてたっけ。すとんとそのままブラックをソファに押し倒せば、「キスしたら甘そうだね」とブラックに視線を落とす。「チョコレートの味するけど、確認する?」「是非とも」そうして僕は手放したくない彼の唇へと吸い寄せられた。
甘い貴方は僕だけのものです
(彼の唇は甘くて、彼もまた甘くて僕は溶けそうになる)
10.10.15