Nが町に設置されたベンチにぐったりした様子で座っていた。食事もきちんととらない彼が心配で俺は「N、」と声をかけて後ろからNの顔を覗き込むようにする。するとNは帽子のつばで顔が見えないけれど、「…ああ、ブラック」とか細く返事をしてきた。いつもと違う様子に俺は眉根を寄せれば、強引にNの顔をもっと上にあげて、帽子のつばをくいっと後ろにやって被りをゆるくした。ようやく彼の顔が見える。ああいつも以上に顔が白くて蒼い。ばか、何したの。そう聞いても彼は答えてくれない。俺は何も答えない彼をいつまでも顔だけ上向かせてるのはかわいそうだと手を離し、右からとたとた歩き彼のもとへ回って隣に座る。そしてぽんぽん、と太ももを軽く叩いた。



「…かたいけど、寝るならどーぞ」

「………、ありがとう、ブラック」



帽子をはずして横たわるNに俺は自分の上着を脱いで掛けてやる。一人でぐるぐるして、多分気持ち悪くなってしまったんだと思う。俺は何も知らないけど、一人で心細そうな彼にこれくらいはしてあげられる。Nの頭を軽く撫でて、前髪を指先でもて遊べば来ていたTシャツの裾をふいに捲られて横腹を指で撫でられる。「ひ、っ」と声を出してNを見てみれば薄目を開けて「いたずら、禁止」と言われた。いや、Nのほうがいたずらじゃん。そう思うけどすでに寝始めた彼に文句のひとつも言えない。髪を撫でて俺は彼の耳元に唇を近づける。



「…おやすみ、N」



ちゅ、と。軽く唇を寄せて触れれば俺は腰元のボールを手に取りポケモンを出す。しばらく此処から動けないし、自由に遊ばせてやりたい。擦り寄ってくる奴らに手を伸ばして遊んでやれば、俺は膝上でNが顔を赤くして「ブラックのばか」なんて言ってるなんて知らなかった。



あなたの愛情は優しすぎます

(そんな貴方が愛しくて堪らない僕はどうしようもありませんね)



10.10.09


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