寄り添う黒白の別れの続き)



小さい頃よく遊ぶたびに母に怒られた気がする。ホワイトはせっかちすぎる、ブラックはのんびりしすぎだ、と。でもそれで私達はバランスをとっていた。さて、せっかちとのんびりが合わさったらどうなるでしょう?答えは簡単、程よいバランスが生まれるの。だから私はいつまでも、ゆっくりとした足取りのブラックの手を取っていくんだ。これだけは、誰にも譲らない。私は彼を引っ張る、先導者なんだから。



「ブラック、そろそろ出発しないとチェレンたちに遅れをとるよ?」

「…ん?…んー、分かってる、けど…焦ることも、ないし」

「そんなこと言って。チェレン、打倒ブラック!ってポケモンと訓練してるんだから…ほら、はやくしなさい」



ぽりぽりと食後のおやつを食べるブラックの手からお菓子を取り上げ、私はいそいそと準備させる。私はブラックたちの後を、少しずつ追いかけていくけれど、ブラックには先に行かせなければならない理由がある。私達はばらばらに生きていく。私が彼を今後もひっぱっていくつもりだけど、少し彼の後姿を見て、追いかけても見たいんだ。こう思うのは先導者の特権。ひっぱってばかりって、ちょっとだけ辛いんだから。



「ホワイト、」

「何?」

「―先行くから、はやく、追いかけてきて」



待ってるから。黒い瞳がじっと見つめてくる。―ああ、勿論よ。当たり前でしょう。先を行く貴方に追いついたとき、私は貴方の微笑が見たい。来たんだねって笑ってくれる、その姿が見たいんだから。当たり前でしょ、と彼の頭を軽く小突けば私は嬉しさからはにかんでしまう。彼の隣に私は居ない、その代わり私はブラックの前と後ろを行き来して、いつまでも側に居るんだ。



追いかける白、先を行く黒

(白色は黒色の後ろを追いかけて、今日も走っていく)



10.09.29


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